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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
追放立志編
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始まりの終わり 六節

 一方その頃フロリゼルに相対したトワは・・・


「・・・」


 目の前に突如現れた強大なオドを漲らせる存在に恐怖を覚えます。


「・・・ろ・れる」


 初めて実機に搭乗した興奮と感動はすっかり消え去り、絶望が心を蝕みます。


「・・・殺される・・・」


 眼前の機体から放たれる剣気にあてられ冷や汗をかき、全身をカタカタと震わせます。


「あっ、あっ・・・!」


 本能による直感とヒューとの戦闘訓練により、この相手には決して勝てない。どころか相手にすらならないと悟ったトワは一種のパニック状態に陥りかけますが・・・


「トワ!しっかりしてっ!!」


「トッ、トーコ!?」


「相手が格上なのは、バンベリー先生から聞いてたでしょ!だったら今さら動揺しないでドンと構えなさい!」


 初めての実戦と強力な相手を目の前にして、我を失いかけていたトワをトーコはそう叱咤激励します。

そしてその言葉を受けたトワは・・・


ゴッ!


 拳で自身の額を思い切り殴りつけます。そして--


「ごめんトーコ。心配かけちゃったけどもう大丈夫だから」


 そうトーコに返答し、意識を戦闘に、眼前の対戦相手に向けます。その刹那--


 ブオッ!


 眼前の白いキャバルリー、フロリゼルが構えた黄金色のコルタナを振り下ろし袈裟斬りを行います。


「やばっ!」


 トワはその斬撃に対応すべく、コンマ数秒遅れながらコルタナを振るいます。


 ガキン!!


 オドを纏ったコルタナ同士が激しく衝突し派手な金属音が響き、両者の斬撃の力はほぼ拮抗している。ように見えましたが・・・


「不味いっ!」


 コルタナ同士が接触した瞬間、相手のキャバルリーの方が自分達の搭乗する機体より圧倒的にパワーが上だと瞬時に悟ったトワは機体ごとコルタナを逸らして加わる力を逃がします。その結果・・・


 ビキン!ズザザザザザッ!!


 シュクルは派手に姿勢をのけ反らせ弾かれます。かろうじて転倒は免れましたが、その場から土埃を巻き上げつつ数十メートル程後退させられます。


「なんっうパワーしてのんよ・・・」


 先程の斬撃で機体にフィードバックされた衝撃により、操縦桿を握った手が痺れるのを感じつつ、緊張からか全身からドッと汗を吹き出したトワはそう改めて眼前の相手に大きな脅威を覚えます。そして--


「いっ、今の斬撃。かなりの衝撃だったけど、機体の方は大丈夫?」


「うっ、うん。今の所は何とか・・・」


 制御室にいるトーコはトワにそう伝えますが、機体から送られてくる情報は悲観的なモノばかりでした。


(車軸及び滑走関節部の負担は軽度。しかし右腕の球、蝶番、顆状、鞍関節部パーツの負担はかなり大きい・・・)


 トーコは凄まじいスピードで機体の受けたダメージを確認していきます。更に続いて・・・


(背骨と腰部のフレーム・ブロックにも大きな負荷が掛かってる!?・・・正直これは不味い)


 そう脳内の演算領域で機体がそれなりに深刻なダメージを負っている事を計算・認知したトーコはその事実を踏まえてトワに助言します。


「トワ。よく聞いて今、シュクルは結構深刻な損傷を負っているの」


「マジで!?」


「うん。少なくとも先程と同じくらいパワーのある斬撃をまたコルタナで受けたら・・・今度こそ機体がバラバラになる。だから・・・」


 そこでトーコは一度言葉を切って、ほんの少しためらってからトワに厳しい要求を突きつけます。


「今から相手の攻撃を全て回避して。でないと機体が保たない!」


「うげっ、そりゃ難し過ぎるよ~!」

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