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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
追放立志編
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動き出す歯車 十二節

「なら早速乗り込んで機体のチェックをしますか・・・私は実機に乗るのは初めてだから入念にチェックしないと」


「私も実機は初めて。だから入念に機体を調整して、トワの操縦特性を早く掴まないと」


 トワとトーコはそう言って早速、眼前に駐機してある全高約18メートルの巨人に乗り込もうとしますが--


「二人共、少々お待ちなさい。この際だからキャバルリーという兵器についておさらいをしておきましょう」


「このタイミングでですか?」


 いざ覚悟を決めて機体に乗り込もうとした所をヒューに水を差される形となったトワは不服そうな声を上げます。


「このタイミングだからです。貴女もミナカミさんも実機に乗った経験も無いうえにミナカミさんに至ってはまだこの星に来てから日が経っておらず、キャバルリーに関する知識も浅い」


「だからキャバルリーの事をわざわざ一からおさらいしてくれると・・・ありがとうございます先生。それと私のせいで足止めさせてゴメンねトワ」


「トーコが謝る事じゃないよ。本当におさらいというか復習が必要なのは、焦ってテンパっていた私の方だし・・・」


トーコの言葉に視野が狭くなっていたと自覚したトワは自身の言動を恥じそうトーコに答えます。

そんな二人のやりとりを見守っていたヒューは、彼女達がキャバルリーについて復習する必要があると自覚した事を確認し、おさらいという形の講義を開始します。


「ではまずトワさん。キャバルリーという兵器が生まれたのはいつ頃ですか?」


「え~と確か今から約650年ぐらい前、竜暦にして850年?ぐらいに開発されました」


「正解です。では次にミナカミさん、なぜキャバルリーという巨大な人型ロボット兵器が必要になり、戦争の帰趨を決する程のモノになったのでしょう?」


「はい。全ては機体の部品にファータ鋼材とそれが発する莫大かつ強力なオドのせいでありまた、巨大な人型兵器というもの見る者に良くも悪くも強烈な印象を与える為です」


「その通りです。オドは同じオドの力以外は全て無効化する為に通常兵器は一切通用しません。またキャバルリーのフレームや装甲はなぜか、オドを使った攻撃魔法ですら通じないという特異な性質を有している為にほぼ弱点はありません」


「・・・そんなモノが天高く聳え立ち、自由自在に暴れ回るというのは歩兵の視点から見たら恐怖以外のなにものでもないですね」


 ヒューの解説にトーコは顔を青くしながらそう答えます。


 そんな彼女の言葉に耳を傾けつつヒューは続いてトワに質問を投げ掛けます。


「ではトワさん。そんな無敵とも言えるキャバルリーを倒すには一体どうしたらよいでしょう?」


「キャバルリーの素材と同じくファータ鋼材製のコルタナの物理攻撃よって直接機体を破壊する」


「その通りです。要約すればキャバルリー同士の戦闘とは白兵戦で決着をつけ、勝ち負けを決めるという事です」


 そうヒューが説明しているのを聞いていたトーコは、ある疑問が頭に浮かんだのでそれをヒューに問います。


「あの~その私もにわか知識なんで詳しくは解らないんですけど・・・そのファータ鋼材を弾丸に加工して銃や大砲から撃ち込む。というような戦法は存在しないのですか?」


「ダンガン?ジュウ?タイホー?なにそれ??」


 トワはトーコが発した謎の言葉の羅列に半ばパニック状態になるのでした。


 そんな彼女の様子を見たトーコはトワにでも何とか解るように、先程言った地球の兵器について丁寧に説明します。


「成程。今一つよく解らないけど凄い武器である事はなんとなく解った気がする・・・けどドラッヘにはそういった武器とか兵器は無いんじゃない?少なくとも私は見たことも聞いたこともない」


「・・・かつて古代エルフ文明時代にはそういった兵器は存在していましたが、現在は一切ありませんよ」


 二人の話を聞いていたヒューはそう言ってトーコの疑問に答えると、今度は逆に彼女に質問を投げ掛けます。


「ところでミナカミさんは先日少し教えた竜協定の事を覚えていますか?」


「はい。確か竜暦0年に四体のドラゴンと人類の主要な国々の代表が交わした協定であり、また人類に対する絶対命令・・・ってそうか!」


「察しが良くて助かります。ミナカミさんの言った兵器群の開発・量産は竜協定に違反する行為。もし破ろうものならドラゴン達により国ごとキレイさっぱり消し飛ばされるので、誰も禁を犯してまで造ろうとは考えませんしね」

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