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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
追放立志編
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動き出す歯車 五節

「私はまあ、色々事情があって故郷の島からこのアルナトラに出て来て機士になろうとしてるんだけどさ」


「うん」


「正直ここに来るまで自分が住んでる国が隣国、プーリタイ島南部を領土とするゲインブルって国と度々、武力衝突と紛争を繰り返している事をほとんど知らなかったんだ・・・無責任な話だけどね」


「そう・・・なんだ」


「だから・・・その私にも戦争に対する恐さとかいざ実戦になると自分が他国の機士や兵士を傷つけたり殺めたり、逆に他国の機士や兵士にそんな事されたりあとは強姦されるかもしれない恐怖はあるよ」


「トワでも、いや機士になろうという強靭な精神の持ち主でもそう感じるんだ・・・」


「私はトーコが思ってる程強くは無いよ。それにまだ見習いだしねただ・・・他の人はどうか知らないけど、少なくとも私はトーコと同じ悩みを持ってる事だけは解って欲しい。それと・・・」


 そう言って更に言葉を続けます。


「私程度じゃあトーコの悩みと抱えてる怖さとかは消せないけど、話を聞いて寄り添う事は出来るかもしれない・・・って私初対面の人にエラソーな事を言ってんだ!?」


「フフフ・・・何だか少しだけ気が楽になった。ありがとう」


 トーコの悩みに真剣に答えていましたが、その事に急に恥ずかしくなり少しパニックになるトワの様子を見ていた彼女は微笑んでそう答えるのでした。


 こうして互いにまだ距離はあるものの、それなりに打ち解けた二人は小一時間程公園でお喋りに花を咲かせていましたが--


「お~い水上さん!」


「ちょっとトーコ!皆からはぐれてどこほっつき歩いてたの!?」


「トーコちゃん急にいなくなるから心配したんだよ~!」


 そんなトーコを探す複数人の声が聞こえてきました。


「あれがトーコのクラスメートっていうか友人さん達?」


「そうだね。あっ!皆にもトワの事を紹介したいんだけど・・・ダメかな?」


「いや今はやめとくよ」


 トワはそう言ってトーコと同じ装束を身に纏った女の子達や、黒色の詰襟で軍服に似た服装を着用している男の子達。


 それに交じってネヴォラス機士団の団員や王城勤めの役人や兵士がいるのを確認し、面倒な事態になるのを避ける為に彼女の申し出を仕方なく断ります。


「それじゃあ機会があればいずれまた」


「うん。私も見習いだけど近いうち機士団に仮入団する予定になってるから、その時にまた会えるかもね」


「そうなんだ。それじゃあその時を楽しみにしてるね」


 そうトーコは別れ際に告げ友人達や城勤めのお役人達の元に戻り、それを見届けたトワも家路に着きます。


 ・・・しかしこの時の二人には再会の約束が、互いに思い描いてモノとは全く違う形となる事は予想すら出来ませんでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 戦争の実感というのは幸せなことに、どうしても又聞きで知識止まりにならざるを得ない一方、そのほうが幸せかな、とも読んでいて思いました。怖いところに来て、この世界の人々みんなが慣れっこなわけで…
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