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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
追放立志編
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動き出す歯車 四節

「そうなるね。でも私が今の所上手に扱えるのは治癒魔法だけで他の、特に攻撃系統の魔法はてんでダメで・・・」


「いやそれだけでも十分凄いし、自分で言うのもなんだけど私みたいな脳筋からすれば魔導師ってだけで雲の上の人って感じだよ」


「そんな大げさな・・・」


 オーバーな物言いに戸惑うトーコに構わずトワは更に捲し立てます。


「私は座学で習った程度の知識しか無いけど、魔導師って脳内に演算領域?っていう所があってそこでイメージした特定の指令をオドを使って実行し魔法という奇跡を起こすんでしょ?」


「まあ概ねそんな感じかな」


「しかもキャバルリー搭乗時にはその高い演算能力を活かし、ヘッドセット型のキュケースを装着しそれを介して機体と情報のやり取りをして機体各部の制御全般を行うと」


「キャバルリーという複座式ロボット兵器の機体制御はまだシミュレーターでしかやってないけど・・・その辺りの事は上手くやれてるみたい」


 矢継ぎ早に質問するトワにそう答えるトーコの表情はどこか憂いを帯びていました。


「何かゴメン・・・トーコの事情も考えずポンポン質問しちゃって」


 トーコの物憂げな様子にやっと気が付いたトワそう謝罪します。


「ううん。いいの気にしないで・・・今の自分の置かれてる状況に戸惑ってるだけだから・・・」


「置かれてる状況?」


「私達はさ、この世界に戦争する為にあるいは戦争に勝つ為のいわば兵器として召喚された事になるのだけれど・・・その事にまるで実感が持てないの」


「トーコ達の星には戦争って無かったの?」


「ううん私達の世界でも戦争はあるわ。それも世界中でほぼ毎日のようにね・・・ただ私の生まれた国は少なくとも七十年近くどこの国とも戦争をしていなかったから・・・」


「・・・いきなり違う星に無理矢理喚ばれた挙句に戦争をしろと言われてもまるで実感が湧かないと」


「うん。それに自分のオドとか魔法とか勝手に宿った力で、これから他人を傷つけたり殺めたりするんだと思うと・・・恐くて恐くてたまらいの」


「むむむ・・・それじゃあ私も同じだ」


 戦争への恐怖で顔が真っ青になり血の気が失せたトーコの手にそっと優しく触れたトワはためらいがちに、しかし凛としてそう告げます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 平和慣れした場所からトワちゃんたちのところに来れば、それは驚くし、怖いですよね。ただ、能力的には羨ましいところたくさん、という。2人の違いが浮き出ていておもしろいやり取りでした。 [一言]…
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