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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
追放立志編
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動き出す歯車 一節

この章から異世界転移して来たヒロインや、ロボット兵器のキャバルリーが登場して本格的に物語が動き始めます。

「ん~今日も少し曇ってるけど過ごしやすい日だねぇ~」


 ハイライン王国の王都アルナトラ、その南市街地にあるマーケットに向かう道すがらトワは空を見上げ呟きます。


(それにしてもあれだけの事があったのに街は平穏そのものだ)


 王城の上空に大規模な術式が展開され、王都どころか王国全土にオドの乱れが発生して一週間。


 軍事・治安を司るネヴォラス機士団や貴族に官僚といったお偉いさん達は上へ下への大騒ぎであり、実際ヒューもここ数日は機士団の基地に詰めており屋敷を留守にしています。


 しかし王都に住まう多くの人々はその出来事に対して、当初は驚き動揺していましたが今はすっかり日常を取り戻していました。


 そんな人々の営みを眺めつつトワは安堵し歩みを進めます。


「おや、トワちゃんじゃないか。随分と久しぶりだねぇ!」


「はは、そうですねおばさん。約二ヶ月ぐらいってとこですかねぇ」


 マーケットに到着すると早速懇意してもらっている青果店の恰幅のよいおばさんから声を掛けられます。


「長いこと店に来なかっただろ?私や近くの店の連中は結構心配してたんだよ~」


「ハハハ、それはすみません。ちょっと私事で遠出をしてたもんで・・・」


 トワは自身のオドの調整、オドを纏っていても人や物を傷つけたり破壊しない技術習得を含めた修行の為に王都を離れていた事に後ろめたさを感じつつそう答えます。


「私事?何か気になるけど・・・聞くのは野暮ってもんだろうさ」


「すみません」


「アハハハ!いいっていいって!それよりせっかく店に来たんだ何か買ってくだろ?」


「もちろん!今日は久し振りの買い出しだからいっぱい買いますよ!」


「そりゃありがたい!野菜も果物もいいものを見繕うからジャンジャン買っとくれよ!」


 そう言って新鮮な野菜やら果物やらを色々と探しているおばさんにトワはそれとなく話を切り出します。


「そう言えば最近、街で変わった事とかなかった」


「う~んそういや一週間ぐらい前だったか、空は晴れてたのに雷みたいなバリバリってやかましい音が鳴り響いてその後二、三日ぐらい体や頭が痛かったけど・・・まあそれぐらいかね」


「ふぅん、そんな事があったんだ。って体の方は大丈夫?」


「ハハハ、体がキツかったのは二日ぐらいで今はホレこの通りピンピンしてるよ」


「それは良かった」


「まあ、あたしら方は特にこれといって変わりないけど・・・あの連中がピリピリしているのがちょっと嫌な感じだね」


 そういっておばさんは街角に立ちながら、市街地の治安を担う警務官に居丈高な態度で接する薄緑色の軍服を纏った男、つまりネヴォラス機士団の機士を見やりながらそう毒づくのでした。


(相変わらず嫌われてるなぁ・・・まあそれも仕方ないか)


 おばさんの刺々しい言葉に概ね同意します。

機士という生業から他者、特に一般人から畏怖される事が多くそれだけでも図に乗りやすい事に加え更にネヴォラス機士団の団員はほぼ全員が王侯貴族の出身という事から非常に選民意識が強く、他者に対して高圧的な振る舞いが多いため国民を始め他国の人々からも毛嫌いされています。


(・・・ヒューさんには悪いけどあの団員達の態度を見ると見習い機士として仮入団するのは少し躊躇うけど・・・故郷を追われた私にゃ正式な機士になるのには絶好の機会だし、他に選択肢も無いしなぁ~」


 団員達の傲慢で横柄な様子を見る度にそんな悩みが頭を過りますか、自分のような半端者を拾い、育て、鍛えてくれたヒューの厚意に応える為にも結局やれるだけの事はやるしかないと決意するのでした。


「じゃあまた寄っとくれよ~!」


「ありがとうございます。今度も色々買わせてもらいますよ~!」


 マーケットでの買い出しが終わり、青果店のおばさんと挨拶を交わした後、家路に着こうとしばらく市街地を歩いてトワは視界の隅にある男達を捉えます。



この章をもっと冒頭の方に持ってくれば良かったと今は悔やんでおります・・・

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― 新着の感想 ―
[良い点] トワちゃんの今の努力を見るにつけ、機士になるのは本当に大変で、すごいことだと分かります。ただ、選民意識まで持ってしまうのはよろしくないですね。そんなふうに入り込みながら読むことができて楽し…
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