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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
追放立志編
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星を巡る力 九節

「そう感じるのであれば瞑想が一番望ましい修行法でしょうね」


(瞑想かぁ。これまた難しく自分には向いていない方法かなぁ)


「今、自分には難しくて向いていないと思っていましたね?」


「いやぁ~そんな事は・・・あります。すみません」


 ヒューに心中を見抜かれたトワは素直に認め謝ります。


「瞑想といってもそんなに難しく考える必要もなければ、身構える事もありませんよ」


「そうなんですか?」


「ええ、とにかくどこか座りよい場所に座って、オドを纏う時と同じ呼吸をし後は目を瞑り心を自由に遊ばせるだけですし」


「己と向きあうとかそういう事はしなくてよいのですか?」


「そういう方法もありますが、それは上級者向け。初心者のトワさんはあまり深く考えない事の方が大事です」


「成程・・・その方法を一日中とかやれば良いのかな?」


「そんなに長くやる必要はないです。さしあたって最初の一週間は二分程でよいでしょう」


「二分!?それは短過ぎるような・・・」


「それぐらいが最初は妥当です。それに慣れたなら時間を伸ばしていきますがそれでも五、六分程でよいでしょう・・・一日中の瞑想なんて私でも無理ですから」


「解りました・・・とりあえずやれるだけやってみます」


 半信半疑ながらもトワはそう答え修行に入るのでした。


 そして最初の一週間は、出来るだけ体全体の力を抜きリラックスして瞑想出来るように心がけて行動します。


 すると僅かに心身が軽くなり、常に身に纏うオドも心持軽やかになった気がしました。


 二週間目は心を自由に遊ばせようとしますが、自分が今機士になる為の厳しい修行中である。という雑念からか中々思う様に心を解放する事がかないませんでした・・・


 三週間目は先の反省から極力、修行中である事を忘れる為に後ろめたい気持ちがありつつも故郷の事を心に思い描き瞑想します--


 母や伯父の事。


 親友であるクリスの事。


 クリスの患ってる病の事。


 そして村の遺跡とドラゴンの事・・・


 それらの事を思っていると心が以前より軽くなっていくのを自覚します。


 四週間目は昔の、幼かった頃の記憶がなぜかよく思い出されました--


 亡き父との楽しかった記憶。


 村の子供達に仲間外れされた辛い記憶。


 そんな自分に唯一手を差し伸べてくれたクリスとの出会いの記憶。


 そしてただ純粋に機士に憧れていた記憶。


(・・・今思えばあの頃が一番楽しくて暖かかったなぁ)


 それら昔の記憶の、なるだけ楽しい記憶を思い出していると少しだけ心を自由に解放し遊ばせる事を身に付けました・・・


「大分オドの流れが軽やかにかつ安定しています。瞑想による修行は成功したと見るべきでしょう」


 瞑想による修行を始めて丁度一ヶ月が経過した頃ヒューはトワにそう成果が出ていると話します。


「どうでしょう?あんまり自覚は無いんですが」


「それなら今からオドを練り上げ保ってみて下さい・・・きっと驚きますよ」


「はぁ。そこまで言うならやってみせましょう」


 そう言って早速オドを練り上げ増大したソレを身に纏って時間を数えます。すると・・・


「六十秒近く保てた・・・それに以前のようにフラフラしない!?」


 自分でやり遂げ事ながら未だに実感が伴わないトワは戸惑いと驚きを覚えます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 瞑想大事ですね。心落ち着けて、空っぽにすると上手くいくことも多いですよね。 [一言] 順調に腕を上げつつも、過去を振り返ることのできる良い場面でした。楽しかったです。
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