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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
追放立志編
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星を巡る力 三節

「あれ?直ぐに散ってしまった・・・もしかして意外に難しい技術なのかな?」


「いえ、これはオドを扱う技術の中で最も基本的なモノでコツさえ掴めば物心ついた子供でさえ、半日とかからず習得出来る技術ですよ」


「ではそのコツというのを教えて下さい」


「それでは修行になりません。コツは自身で掴み覚えて初めて、自分のモノになるのです」


(・・・少し浮かれていた。ここは村とは違うんだ。解らない事があっても誰かに尋ねればホイホイと答えが返ってくる訳じゃないんだ)


 ヒューの指摘に、自分が今までとは違う環境にいる事を思い知らされたトワは一層身を引き締めて修行に臨むのでした。


 そしてそれから一週間-


「だぁ~っ!全然ダメ一週間続けても二、三秒しか伸びない!」


 修練場の床を汗だくなりながらのた打ち回りトワはそう叫びました。


 オドを纏う修行を始めて一週間。家事や他の修行、剣術、体術、体幹鍛練等々や座学に礼儀作法の訓練も受けながら、修行を続けていましたが・・・技術は一向に上がっていませんでした。


「しかも纏えるオドの形や出力もグニャグニャのバラバラでとても見れたモノじゃない・・・」


 トワは自身の不甲斐なさに落ち込み暗い気持ちになりかけますが・・・


「ここで不貞腐れてても仕方ない。何とかしてコツを掴んでモノにしてみせなきゃ!」


 そう決意を改めて修行に励むのでした。


 それから更に三週間--


「ハハハ修行し始めた頃から全く進歩が無い。ここまで才能が無いと逆に笑える・・・はぁ」


 修練場の隅っこイジけながらトワはそう自嘲します。


 この三週間、トワは自分が思いつく限りの工夫をこらして修行に勤めました。


 ある時は寝っ転がりながら、またある時は正座をしながら。

両手で重たい物を持ったり、筋トレや体操したり、読書したり、頭の上に何か乗っけたり、走り回り跳び跳ねてたりしながらオドを纏う修行をやってみましたが・・・いずれも全く効果はありませんでした。


「・・・これじゃあただ焦って空回ってるだけ。方法というか考え方を変えた方が良いかも」


 いつまでもイジけていても仕方ないので、トワは今までの闇雲なやり方を一旦止めて他に何か良い方法が無いか考えます。そして-


「そういえばヒューさんがオドを纏った時にいつもと何か違う事をしていたような・・・・・・あっ呼吸の方法」


 ヒューがトワに初めて自身のオドを発し纏わせみせた時の事を思い返して、彼がいつもと少し違う呼吸の方法していた事に気が付きます。


「確かあの時、お腹に力を入れて浅く息を吸って長く吐いてた・・・単純な事だけど、もしかしたら重要な事かも?」


 トワは半信半疑ながらも、とりあえずやってみる価値があると感じ早速実践してみせます。


「スウゥゥ-ハアァァァァァァ」


お腹に力を込めつつ、息を四秒で吸い八秒掛けて吐いてみます。すると・・・


(えっマジで?オドが全然霧散してない。それに少なくとも十秒以上纏い続けられてる!)


 集中力を切らさぬようにしながら、例の呼吸法を繰り返しつつも格段に技術が進歩した事にトワは興奮します。


(しかも纏えてるオドの形や出力も前よりかなり安定している!)


 以前は風に吹かれる灯火のように、ユラユラと不安定な形をしていたトワの灰色のオドも今は彼女の体にしっかりと纏われており、更にオドの出力も以前と比べて安定していました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] トワちゃんの頑張りがよく伝わってきました。とても面白かったです。なんであれ、コツをつかむというのは大変ですよね。でもわからないといつまでも大変なまま進まねばならなくなりますし。大事ですよね…
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