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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
竜圏の聖域
145/147

内なる世界へ 第五節 

 ゴオオオオオオオッ!!


 大気を揺さぶる轟音と共にトワのオドはいつかの様に灰色から純白に変化し、その濃度も先程までとは比べ物にならない位に強大になってゆきます!


「バケモノめ・・・こいつでブチのめす!」


 幼馴染みで大切な友を殺めようとした怪物に対して、とうとう理性の糸が切れたトワは右腕を振り上げ、そこに周囲の空間が歪む程のオドを集中させると・・・一気に衝撃斬をブッ放ちます!


 ゴオッ!キイイイイイイイイン!!


 ■■■■■■■■■--!!


 絶対零度に近い凍気まで纏った超強烈な衝撃波の嵐が直撃した怪物は、思わず苦しみの絶叫を上げ・・・そのまま凍てつき活動を停止します。


「ハァハァハァ・・・何とか止まっ・・・た!?」


 トワが肩で息をしつつ安堵したのも束の間、怪物は件の赤黒い禍々しいオドを噴出させ冷気を一緒でほどくと、怒りの咆哮を上げ再びトワに襲い掛かります!


(ヤバッ!もう体力も、オドもっ・・・!)


 ズザン!


「がはっ!ゴホゴホッ!!」


 ・・・先程衝撃斬を放った際に気力、体力、そしてオドを全て使い果たしたトワに抵抗する術は無く、怪物の放った鋭利な爪の一撃は易々とトワの胸を貫き、彼女は先程以上に大量の血を吐き続けます。


(こいつは・・・助からないなぁ・・・)


 薄れゆく意識の中でそうボンヤリと死の感触を感じていると--

唐突に怪物の纏うあの不気味で不快な赤黒いオドが傷口を通してトワの内側を侵食し始めます。



 --腹立つ、ムカつく、うざい、鬱陶しい、うるさい、目障り、消えろ、■ね、調子に乗るな、ふざけんな、勝手にしろ、はあ?、黙れ、黙ってろ、■すぞ--



(なっ、なんなんだ?頭の中に勝手に言葉が・・・怒りの感情が入ってくるっ!)


 赤黒いオドと共に自身の内に流れ込んでくる凶悪な怒りの感情とその奔流にトワの意識は次第に飲み込まれてゆきます。


(ゴボゴボ・・・ブヘッ!なんなのよこの怒りは・・・私はこんなモノ知らないわよ!?)


『嘘つき。この怒りはアンタのモノでしょう?』


(そりゃどういう意味よ!って言うかアンタ誰だ!?)


 怒りの濁流に翻弄されもがき苦しむトワの意識に突如謎の声が響きます。


『私が誰なのか、それはアンタが一番よく知ってるんじゃないの?』


(そんなの知る訳ないじゃないの!)


(シラを切っているのか、自覚すらないのか・・・まあどちらにせよ今のアンタに私の、私達の力は到底御しえないのは確かね)


 謎の声がそう一方的に断じると、赤黒い怒りの濁流は更に激しさを増してトワの意識を押し流そうとします。


(ガボガボ・・・グハッ!それってどういう意味・・・)


 トワは流れに逆らい何とか対話を続けようとしますが、これまでの戦いで精も根も尽きていた為、急速に意識が薄らいでいきやがて視界が完全に閉ざされようとしていたその刹那・・・赤黒い濁流の底に超巨大な生物の影を見ます。


「あっ、あれはもしかして・・・ドラゴン!?」


 そう小さく呟くとトワの意識は完全に飲み込まれ・・・幽世の天辺に押し出されしまうのでした。

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