表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
竜圏の聖域
144/147

内なる世界へ 第四節 

(くそっ!こいつなんてデタラメな攻撃をしてくるんだ。対処するだけで精一杯だぞっ!)


 化物の物理法則を無視した変幻自在な挙動と攻撃に翻弄されるトワは思わず毒づきます。


(チッ!アホみたいな怪力は勿論だけど、あの巨体に似合わない凄まじい速度もかなり厄介だっ!)


 あの巨体から想像出来ない凄まじい速度と、不気味なまでの軽やかさと俊敏な動きにトワはたまらず舌打ちします。


「ハァハァハァ・・・流石にじり貧ね。反撃どころか攻撃を避ける事も捌くも出来なくなり始めてる・・・」


 ほんの十数秒、怪物の激しい攻撃を受け続けたトワは、全身に強力なオドを纏わせているにもかかわらず身体中に打撲、骨折、裂傷等の傷を負い血に塗れ肩で息をしていました・・・


「何とか反撃の糸口を見つけなきゃ・・・あの硬さと速度に対抗する術を考えないと・・・」


 ■■■■■--!


 トワがこの追い詰められた状況を逆転するべく思考を巡らせていると、そんな暇すら与えるつもりも無いとばかりに怪物は咆哮し、休む間もなく攻撃を仕掛けてきました!


「くそっ!少しは休ませろっての・・・つっ!?」


 バァン!ズガガガッ!!


 愚痴をこぼしながらも何とか攻撃を捌こうとしたトワでしたが・・・視界の外、意識の外から不意に襲ってきた尾による強烈な一撃を背中に喰らってしまい、凄まじい勢いで吹っ飛ばされ害獣除けの石塁に叩きつけられてしまいます!


「ガハッ!!ゲホゲホッ・・・」


 尾が直撃した瞬間、本能とこれまでの経験から即座に身に纏うオドを最大にまで高め身を守る事に徹しましたが・・・それでもなお大きなダメージを負ったトワは大量に吐血し、その場にうずくまってしまいます。


 そんなトワの様子を一瞥し無力化したと判断した怪物は、再び集落の全てを破壊すべく動き始めます。


(くっ、不味い・・・何とかしなきゃ、でも痛みで体が・・・)


 怪物の行動を何とかして阻みたいトワでしたが、全身がバラバラになりそうな激痛に襲われ最早どうする事も出来ない状況に陥ります。

 そんな彼女の事を尻目に集落を襲い始める怪物でしたが・・・車椅子に乗った一人の少年が勇敢にもそれを阻もうとし、怪物の目の前に姿を晒しました!


「だめだ・・・クリス・・・早く逃げてっ!」


 激痛に耐えながら車椅子に腰掛ける懐かしい幼馴染みの少年の名を、虫が鳴くような声でトワはそう発して警告を促しますが当然少年にその声は届きません。


 そんなトワの事など目もくれず、眼前に現れたクリスをまるで嘲笑うように口角を不気味に吊り上げた怪物は、腕を振り上げ狙いを定めます。


「・・・止め・・・ろっ!」


 怪物の動きを見て何をしようとしているのか瞬時に察したトワは、全身を襲う強烈な痛みを何とかこらえヨロヨロと立ち上がり、そう小さく呟くと身体中のオドを絞り出しそれを最大にまで高めてゆきます!


「止めろ、止めロ、止メロ、ヤメロ、ヤメロ、ヤメローッ!!」


 トワの身体が壊れんばかりに絞り出した叫びに共鳴するように、身に纏う灰色のオドは高まり続け、やがて--

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ