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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
竜圏の聖域
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内なる世界へ 第一節 

「相変わらず壮大なスケールのレリーフだなぁ・・・」


 邸宅地下での修行を終え、ヒメの言いつけ通り再び例の広間にやって来たトワは、ヒメ様付きの女官に通され広間に入ると、壁や天井に描かれたレリーフを眺め改めて感嘆の声を洩らします。すると・・・



 我等、命の種を携え星の海に旅立たん--



 数多の星雲、幾多の銀河を巡り行く--



 悠久の刻、その果てに燈の星、約束の地に辿り着く--



 一は種と共に星と一つになった--



 残った四は、海を、山を、大地を、月を造り定めた--



 種は芽吹き、星は命で満たされ生と死が回り続ける--



 四はそれをただ見下ろす。星が終わり再び旅立つ刻まで--



「いっ、今の声はっ!?」


「このレリーフに描かれたドラッヘの創世史、みたいなものだよ」


 トワが突如、頭の中に響いたヒメの声に戸惑っていると、相変わらず広間の奥に鎮座していた彼女がそう説明しました。


「今のが世界創世の話・・・故郷の学校では教えてもらえなかったので知りませんでした」


「まあ古代エルフ文明の崩壊にその後、長い長い混乱の時代が続いたからねぇ・・・創世記の話がちゃんと伝わってないのは仕方ないね」


「成程・・・しかし改めて創世の話を聞かされても、私の頭じゃさっぱり理解できないです」


「まあそうだろうねぇ。だがいずれトワ君は嫌でも解る時が来てしまうだろうさ」


「それはどういう意味なんですか?」


「おっと少し無駄話が過ぎたようだ。なのでさっさと事を進めようじゃないか・・・あまり時間も残されていないしね」


「はぁ・・・」


 話を露骨に逸らされつつも、確かに今この瞬間ですら赤竜ロッソから望んでもいないのに無理矢理与えられたオドに侵食され命の危機に瀕しているトワの言葉を受け入れます。


「・・・それでロッソ様、赤竜のオドの侵食とそれに伴う発熱を抑えるにはどうすればよいのでしょうか?」


「トワ君の中にあるロッソの、彼女のオドを自身の制御下に置く事。実にシンプルで簡単な事だろ?」


「いやいやいや、それのどこが簡単な事なんですかっ!たかが人間如きが竜のオドを御しきれる訳がないでしょう!」


「それが出来ちゃうんだなぁ~現に私自身がロッソを含む四竜からオドを与えてもらい、ソレを制御している訳だし」


「それは・・・ヒメ様が竜伎で、生まれつき選ばれた特異な人間だからでしょう?」


「確かにそこは否定しない。でもそれを言うならトワ君だって同じだよ」


「それはどういう事ですか?」


「君は故郷であるステネス島の遺跡で白竜ビアンコの制裁を受けて、それでもなお五体満足でピンピンしている。それだけでも普通に考えて異常な状況なのだよ」


「確かに冷静に考えたらそうかも・・・」


「だろう?それはひとえに君が私と同じ特異な人間だからさ。更に付け加えるなら、君の奇妙な魂の在り方も関係しているかもしれないしねぇ」


「まるで実感が湧かないですが・・・私にも竜のオドを制御下に置ける素養があるという事ですね」


 ヒメの説明に対し少し不安になりながらもトワはそう納得します。





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