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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
竜圏の聖域
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業と技 第三節

「ふう~何とか出来た。では早速横になるとしますかね」


 トワはそう言うと早々にスペースに入り身体を横たえます。

それに続いてマルグリットも入り登山道具を置くと、ふとトワに言葉を投げ掛けます。


「しかし凄いなトワは、咄嗟にこんなアイデアを思い付いて更に迷いなく実行に移せるとは中々出来ないぞ」


「ああそれは私の思い付きじゃ無い。昔故郷の幼馴染みから読み聞かされた本に、こんな時の対処があった事を思い出したんだ」


「幼馴染みか・・・私にはそう言える存在がいないので正直羨ましいな」


「へえ~そうなんだ・・・それって前に言ってた家訓にも関係してる?」


「ああそうだな。客観的に見れば本名も素顔も隠している人間なんぞと積極的に関わろうとする子供は普通に考えればいなくて当然だな」


「同じ機士の家門の子弟とかはどうだったの?」


「彼等の中には私や我が家の事情を知っている者もいたが・・・それ故に距離を置かれていたな」


「同じ機士の家の子供達ですらそうだと私みたいな庶民の家の子供達からは・・・」


「まあ察しの通りかなり奇異な目で見られていたよそれに

・・・」


「それに機士の力を持って生まれた子供に対するやっかみと恐怖、そして羨望と嫉妬か」


「まあそういう所だ。だから今に至るも同年代の友人がいない」


「ん?私達ってまだ友達同士じゃないの?」


 マルグリットが身の上話し多少落ち込んでいるとトワは突然そんな事を言いました。


「友達・・・というか共に竜伎様の課す苛烈な修行を乗り越えてきた同志だと思っている」


「同志ねぇ・・・私みたいな半端者。そんな大層な存在とは思えないけど」


「確かに最初竜伎様からトワを紹介された時は、なんでこんな半端者と一緒に修行しなきゃならないのだと憤った」


「半端者って所は否定しないのね」


「しかしどんな苦しい状況でも決して根を上げず、恐ろしい程の諦めの悪さで次々と困難を乗り越えていく姿を目の当たりにして私も随分勇気を貰った。それ故にトワの事はかけがえのない同志と認識している」


「褒められてるのか貶されてるのかよく分からん物言いだけど、まあ悪く言われてる訳ではなさそうね」


「勿論、悪くは言っていない。むしろ私はトワの事を素直に尊敬している」


「それを言うなら私もマルグリットの高い技量や、精緻かつ力強いオドの操作能力を凄いと思っているしその気高い精神には畏敬の念を抱くよ」


「それは・・・正直嬉しいな」


 トワの言葉を受けマルグリットはそう柔らかな口調で喜びを表現します。


(って言うかお互いこれだけ認めあってれば普通友達同士みたいなモンなんだけどねぇ・・・)


 そう思ったトワは早速その事をマルグリットに伝えようとします。

 しかし彼女の家の事や先程聞かされた生い立ちの事などを考慮し別の角度からアプローチします。


「同志なんて堅苦しい肩書きなんて面倒だからさ、私をマルグリットの最初の友達にしてよ!」

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