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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
追放立志編
13/147

王都アルナトラ 八節

「はぁはぁはぁ・・・チクショー全然追い付けない。というかわざと一定の距離を保たれてる」


 あれから更に三時間、ヒューのモノと思われる光の痕跡を追って走り回っていたトワでしたが、わざどあと少しで追い付くという所で幾度も逃げられては遊ばれている事に気が付き憤慨します。


「もうじき夜が明ける・・・最低でもそれまでにヒューさんに触れないととっ!?」


 改めて気合いを入れ直しヒューを探そうとした矢先、トワの視界がぐらつき地面に膝をついてしまいます。


「・・・ヤバい体に力が入らない。それによく見たら私の体からも光が一杯出て散っていってる」


 トワはそこで初めて自身の体からも例の光の様なモノが大量に放たれ霧散していた事に気付きます。


「もしかしてコレのせいで力がゴリゴリ削られてた?だとしたらもう体力が持たな・・・」


 そう呟いて意識を失いかけますが


「・・・まだだ。まだ終われない」


 今にも途切れそうな意識と崩れ落ちそうな体を必死に支え続け


「これが今の私の限界だっていうなら・・・その限界を超えてやるっ!!」


 そう叫んでトワは立ち上がるのでした。


 その様子を廃墟に隠れながら監視していたヒューはトワのある変化に気が付きます。


「放たれているオドの性質が変化した?」


 先程までトワが大量に霧散させていた灰色の光が弱まり、替わりに真っ白な吹雪のように荒々しい光がトワの体を包みました。そして・・・


(しまった!)


 ヒューがそう感じた刹那。トワは自身の目の前に突然姿を現しました。


(あの距離を一気に縮めてきたとは中々速い足運びだ!だが対応出来ない速度ではない)


 トワが自分を視界に収め、先程までとは比べものにならない速度で迫った事にヒューは多少驚きを覚えますが、直ぐに冷静になり状況に対応をしようとします。しかし・・・


 -バタン!


 最後の力を振り絞った結果か、あるいは限界以上の力を無理矢理引っ張り出した代償のせいか、トワはヒューの眼前に迫りながらもあえなくぶっ倒れてしまいました。


「ここまででしたか・・・最後まで奮闘した事は素直に称賛しますが、残念ながらオニゴトは私の勝利でしたね」


 トワほどの中々気骨のある機士志望者に久方振りに巡り会えただけに、少しもったいない気持ちでそう述べるとヒューは倒れている彼女を回収する為に傍に近付いたその瞬間-


 ガブリ!


 意識を失っていた筈のトワが急に覚醒し、ヒューの軍服の袖に噛みつきました。そして・・・


「ふっふぁいふぁふぁあい!」(※絶対に離さない!)


 そう言って十数秒間、袖に噛みつき続けその後今度こそ本当に意識を失うのでした。


「・・・やれやれ本当に滅茶苦茶な事をする。しかしルールはルール、オニゴトは貴女の勝ちですよ」


 半ば呆れつつもどこか嬉しそうにトワに語りかけると、ヒューは今度こそ倒れている彼女を引き起こし抱き抱え朝日が上り始めた演習場をあとにし、自身の屋敷まで運ぶのでした・・・

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― 新着の感想 ―
[良い点] トワちゃんの頑張りが素晴らしかったです。応援したくなる女の子だと思います。ヒューさんはやはり人格者で優しそうですね。トワちゃんを見る目に温かさを途中から感じられました。 [一言] とても良…
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