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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
追放立志編
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王都アルナトラ 七節

「そう言えばオニゴトの開始直前にヒューさんの身体全体が大きく光ったような気がする。いやそれ以前にあの人は常に淡い光みたいなモノを纏っていた」


 そう思い返しトワはヒューが纏う光の正体について考えを巡らせます。


 トワは故郷の遺跡でドラゴンの電撃を喰らって以来、自身の周りの世界の全てが微かに何らかの光を放っているように見えるようになっていました。


 人間だけでなく動物や草木等の植物から石や金属等の無機物を含め、この世界のありとあらゆる物が何らかの光のようなナニカを放出しているように見える事実に驚き混乱しました。


 混乱しつつもその現象の正体を突き止める為にじっくり観察すると光のようなナニカは非常に微弱な存在で、放出された直後には直ぐに霧散する事を発見しますが、それ以外の事は全く解らなかった為にますます混乱してしまいました。


 因みにその事を一度他人に話した時、心療内科のある病院か診療所に行く事を勧められた為に以後誰にも話さず、電撃を喰らった時の後遺症かなにかと割り切って問題を棚上げにしてきましたが・・・


(もしかしたらこの光のようなナニカがヒントになるかも知れない)


 という結論に至ったトワは乱れた呼吸を整え、周囲を注意深く観察すると・・・


(やっぱりだ、微かにだけど確実に廃墟の放つ弱い物とは違うヒューさんが纏っていたのと同じ細かくてでも強い光がある・・・あれを辿っていけば!)


 光の正体が一体何なのかいまだ解らないままでしたが、そう確信めいた何かを掴んだトワは早速その光の辿りその先にいるであろうヒューに触れるかあるいは捕まえる為に走り始めました。


 そんなトワの様子をヒューは数十メートル離れた廃墟から隠れつつ監視しながら・・・


(ほうオドの存在に気付きましたか。機士になる為の最低限の素養は持ち合わせていたようですね)


 オニゴト開始から今までただ闇雲にそこら中を駆け回っていただけのトワが、小休止を挟んだあと明らかにこちらの痕跡を発見し、追跡を始めた事にヒューはなぜか少し喜んだ様子でそう呟きます。


「しかし気付いただけでは足りない・・・その内に秘めるオドが果たして一人前の機士となるにふさわしい質と量があるか見極めさせてもらいましょう」


 そう言ってヒューはトワが自身に近付いた分の距離を一瞬で遠ざかると、また身を隠して監視を続けるのでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 試験を通して力に目覚めて成長していく主人公の姿が巧みに描かれていて応援したくなりました。うまく追跡してほしいなと思わせる流れで良かったです。 [一言] ヒューの追われつつも余裕を持って監視…
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