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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
竜圏の聖域
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新たな修練 第ニ節

 そこには両手にそれぞれ直径5~6メートル程ある大岩を、軽々と持ち上げながら、獲物を前にした肉食獣の様にトワとマルグリットを底意地悪そうな笑みを浮かべながら見つめるヒメの姿がありました。


「マルグリット!!」


「見えている!あれは不味い!!」


 トワがすかさず警告を発すると、マルグリットは切羽詰まった様子でそう答えた次の瞬間--


ドォン!


 ありえない爆音を発し、途轍もない速度で大岩がトワに迫ってきていました。


(やば・・・これ死ぬ・・・)


 大岩を目前にトワはそう感じ頭の中が真っ白になりかけますが、その刹那無意識下において生き残る為の行動、咄嗟に脚部正確には明日の裏側にオドを集中させると、一瞬ながら爆発的な脚力を得てその場を離れます!


ドォ-ン!ガガガガガガッ!


 離脱した直後、トワが先程までいた場所に大岩が直撃し凄まじい轟音と共に地面が抉れ、土煙が巻き上がります!

 顔面を青白くし全身から冷たい汗を吹き出しながらその様子を見つめていたトワは慌ててヒメの方に視線を向け直します。するとそこには先程と同じく大岩を両手に持ったヒメが獰猛な笑みを浮かべ投擲の動作に入っていました。


「トワ生きているか!?次が来るぞ!」


「何とか生きてる!数秒後は死んでるかもだけど!」


 自分と同じく何とかあの大岩を回避したマルグリットから忠告を受けたトワはやや混乱しつつもそう答えました。


(さっ、さっきは何とか避けたけど次は上手くいくとは限らない。それに投げる速度が上がったり、同時複数になった場合完全に詰む!)


 背中に冷たい汗を流しつつそうトワは最悪の事態を想定していると・・・まさにその通りに状況が展開してゆきます。


パァン!!


 そんな意味不明な炸裂音と共にヒメの放った大岩が、まるで地球の銃器の一つである散弾銃の玉のように広範囲にバラ撒かれ、トワとマルグリットの逃げ場を完全に潰してしまいます!


 その光景を見た二人は絶望的な気持ちに陥りかけますが・・・時間にしてコンマ数秒程で心を持ち直し、ほぼ同時に襲い来る大岩の群れに対する対策を思い付きます。


(一か八だが・・・やらないよりマシだ!)


 そうトワは心中で叫び--


(今までの修行の成果をここで昇華させてみせる!)


 マルグリットはそう覚悟を決め、各々暗闇の中で目測をつけ拳にオドを集中・増大させて眼前にまで迫った大岩を力一杯殴りつけます!


パアアアアァァァァン!


 そんな風船が破裂するような音が暗闇に響き、二人に迫っていた大岩は原子・・・いや粒子状にまで粉々に砕かれました。


(どうにか破砕出来たみたい・・・だけど!)


 再び両目にオドを集中し、粉々になった大岩だった物を確認したトワは素早くヒメの方を見直し、次にどんな行動を取るか確かめます。しかし--


パンパンパン!


 どこか楽しげに拍手をするヒメの姿を見たトワとマルグリットは、先程までの緊迫感と打って変わり困惑を覚えます。

そんな二人の感情を知ってか知らずかそれとも気づいていないのか、ヒメはマイペースに話を始めます。


「いや~中々やるね二人共、私がほんのちょっと説明しただけでオド集中のコツと運用方を見つけるとわね~」


「そっ、それはどうも・・・」


「コツを掴むのに少なくともニ~三回、トワ君の場合は最初の投擲で確実に挽肉になると予想してたんだけど・・・まあうれしい誤算だね」


 いかにも愉快そうに語るヒメにトワとマルグリットは思わずゾッとし揃って顔を青白くします。

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