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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
竜圏の聖域
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基礎学科教室 第十節

 厳かな口調でそう述べたハンスは画面上にテューロス地方の地図を表示するとここシン・ロンから海を挟んで東側に存在するシン・ロンにも負けるとも劣らない巨大な港湾都市を映し出します。


「それがここ自由都市サン・アニパに本部を置き、ドラッヘの先程説明した五ヶ国を含めた各国が国家間の様々な問題を話し合いで解決する為に発足した組織、竜星連盟である」


(竜星連盟・・・私達の世界でいう所の国連みたいなものかな?)


 ハンスの話を聞いたトーコは自分の故郷である地球にも似たような国際機関が存在する事に思い至ります。


「連盟ではドラッヘ各国の加入国から派遣された大使達が日々、国際平和や安全保障に経済、社会、文化、それに難民や移民の問題を話し合い、それらを解決する為の提案や発想が採択され、それを実現すべく大使達や職員が国家や民族あるいは種族の垣根を越えて日夜活動している」


 ハンスはそう説明し画面に連盟の議場で大使達が会議を行っている様子や、連盟の職員達がオフィスやシン・ロンを始めとするドラッヘ各地の難民キャンプで働いている様子を映し出します。


「また連盟には竜伎様も参加しており、ドラゴンの方々の意向や意思を各国に託宣されており、大使達はそれを本国の首脳陣に伝えるというある意味、最も大事な役割を担っている」


(やっぱり国連とあまり違わないか。まあ竜伎様が参加してドラゴンの方々の意向を伝えるという点は大きく異なっているけど)


「竜星連盟ねぇ・・・あの組織がまともに機能しているとなんて到底思えないけど」


「えっ!?それってどういう・・・」


 コリンナがそう小さく、そして聞いている者に寒気が走る程の冷たい声でそう皮肉った事に驚いたトーコは思わず彼女の発言の真意を問おうとしましたが・・・


「さて本日の講義はここまでとする。今後の講義の予定に関しては学院内の掲示板や、タブレット端末等に提示しておくのでよく目を通しておく様に」


 そうハンスが述べて講義を締めくくり教室から出ていってしまった為に、コリンナに真意を問うタイミングを逃してしまいました。


「じゃあ私は次に控えている専攻の講義に行くから、ここで一旦お別れだね」


「うっ、うんそうだね」


 先程の事もありトーコは少し気不味い様子でそう答えます。


「うん。折角ここで会って一緒に講義を受けたのも何かの縁だし、お互いの端末情報を交換しない?そうすればこの広大な学院内は勿論、シン・ロン内だとどこでも連絡取れ合えるしさ!」


「うん構わないよ」


「やった!じゃあこれで私達今から友達同士って事で、改めてよろしくトーコ!」


「こちらこそよろしくコリンナ」


 そうトーコが返答すると早速コリンナは互いのタブレット端末を操作し、あっという間に情報交換を行います。


「じゃあまたね。今度あったらシン・ロンでおすすめのカフェやショップなんか案内するよ!」


 そう別れの挨拶を交わすとコリンナは駆け足で教室から出ていってしまいました。


「少しおとなしそうに見えたけど、意外に明るくて行動力がある娘だなぁ・・・しかし」


 コリンナの後ろ姿を眺めつつトーコは小さく感想を洩らしましたが、それと同時に彼女にある違和感も覚えます。


(コリンナの所作や振る舞い。一見がさつな様に見えたけどどこか品があって洗練されていた・・・様に見えたそれに手の平にあったトワと同じ剣ダコに、極うっすらとだけど確実に纏っていたオド。彼女は一体・・・)


 トーコはそうコリンナに対してある種の疑問を覚えますが、自身も次の講義が控えていた為に頭を切り替え講義の準備を進め教室を移動するのでした。



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