基礎学科教室 第三節
そう述べたハンスはおもむろに白衣のポケットからある物を取り出して、それを教壇の上に置き話を続けます。
「さて早速授業を始めるが・・・私が今教壇の上に置いた物がなんであるかそこの君解るかい?」
「その~ただの大きな石でしょうか?」
「確かに石には違いないが、ただの石ではない」
自身が指名した院生の答えを聞いたハンスは少々呆れつつそう返すと、続けて次の回答者を指名します。
「これはただの石ではない。なら何か?そこの君答えられるか?」
「えっわ、私でしょうか?」
突如ハンスに指名されたトーコは慌てた声を上げます。
「君以外に誰がいる?」
「そっ、そうですよね」
「それで君はこの石が何か解るかい?解らないのであれば、次の回答者を指名するが・・・」
「う~ん、そのゴツゴツとした形状から何らかの鉱石であるとは予想出来ますが・・・あのもう少し詳しく観察させてもらっても構わないでしょうか?」
「ああ構わんよ」
声音からトーコの真剣さを感じとったハンスはそう答えて彼女の行動を許可します。
ハンスの許可を得たトーコは早速その何かの鉱石をじっくりと観察すると、ある事に気が付きます。
(あの鉱石が纏い内包しているオド・・・そこら辺の物質に宿っているモノとは比べ物にならない程、質も良いし量も多い。それに・・・)
更に何かに気付いたトーコは観察を続け、考察を推し進めます。
(それにあのオドの波長と脈動感、キュケースを身に付けた時や、キャバルリーに搭乗した際に感じられるモノとほぼ一致している。つまりあの鉱石の正体は・・・)
そこまで考察したトーコは恐る恐るハンスに返答します。