表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
竜圏の聖域
103/147

学院 第二節

(これは凄い!日本の大学より断然広くて大きい!)


 眼前に広がる質素ながらもどこか風格と歴史を感じさせる荘厳な石造りの大きな建物の群れ、一種の学園都市の光景を目にしたトーコは、地球にいた際にオープンキャンパスで訪れた事のある日本の大学と比較し、そう心中で感嘆の声を上げます。


「大層驚かれておりますね?」


「はい・・・実際これ程大規模な施設だとは予想していませんでしたから」


 女官の問いに対しトーコは感動した様子でそう答えます。

その返答を聞いた女官は満足そうに頷くと、次に学院創設の経緯をトーコに語り始めます。


「・・・今でこそこんなに立派な建造物ですが、設立当時は校舎も何も無い青空教室だったのですよ」


「えっ!そうなんですか!?」


「ええ、元々は戦争や災害で住む所を失ったり、差別や迫害により居場所を無くしこの聖域と竜伎様に救いを求めてドラッヘ各地から流れ着いた難民の子供達に初等教育を施す為に有志により始められた教室だったのですよ」


「そう・・・だったんですか」


 日本という難民どころか戦争とも程遠い平和な国で育ったトーコはその話に少なからずショックを受けつつそう返答します。


「ええ、そして教室が始まって幾日が経ったある日、その当時の竜伎様が教室に慰問に訪れた際に、今の貴女と同じく衝撃を受けられた竜伎様はある事を宣言されました」


「ある事?」


「この教室に雨風をしのげて、安心して子供達が学べる学舎をシン・ロンの力を結集して建造する。そして・・・」


「そして?」


「その学舎を起点として、難民も棄民も貧者も亜人も魔族も関係なく、誰もが等しく自由に学問を学べる理想の学院を築く!と宣言されたのです」


「それはまた壮大な目標ですね。でも困難もまた多かったと思われますが?」


「そうですね。やはり宣言当初は民族・種族間の対立や、教員を始めとする人員の不足、更には学舎建設の為の資金や資材も不足していました」


「やっぱりそう簡単にはいかないですよね」


「ええ、しかし竜伎様を始め学舎建立の考えに賛同した教員や学者、更に多くの人々は決して諦める事なく一つ一つの問題を根気強く解決してゆき、ついに学舎の建立に成功したのです」


「それはまた大変な苦労だったでしょうね・・・」


「それはどうでしょう?当時の記録を見る限り、彼等偉大な先人達は様々な問題・困難に突き当たってもそれを苦労だとは感じていなかったようです」


「それは・・・なぜなんでしょう?」


「恐らくですが、彼等は様々な問題や困難にぶつかる度、物凄いバイタリティーを発揮してそれらを乗り越えていましたし何より・・・」


「何より?」


「それら様々な難題を解決する事を楽しんでいたからだと思われます」


「困難を乗り越える事を楽しむ・・・中々出来る事ではないですね。先達の方々は凄く克己心に溢れていたように感じられます」


「そうですね。そしてその強い克己心とバイタリティーと行動力でもって、現在の学院の基礎ともいえる学舎の建立と開校を成功させたのですよ」


「色んな事がありつつも、沢山の人々のお想いが形となったのですね・・・良かった」


「そう言って頂けると有り難い。しかし先達の方々や竜伎様はそれで満足されず、より多くの人々がより広く深く学問を修められるように学舎を拡大させていったのですよ」


「壮大な計画ですね。でも今現在の学院の様子を見るに、学舎をここまでの規模に拡大するには莫大な予算と人員、それに何より時間が掛かったのでは?」


「まさしくその通りで、ここまでの規模になるまで膨大な資金と人材、そしてかなりの年月を用しましたが・・・学舎建立の為に尽力した先人達の志と情熱を引き継いだ多くの人々や歴代の竜伎様の積極的な助力もあり、学舎開校からおおよそ三百年で今現在の形になったのですよ」


「さっ、三百年!?それはまた凄く長い歴史と伝統があるのですね・・・」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ