表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ふわっとした短編集

草生える

作者: 蟹蔵部

「ははっ、(カタカタカタッターン!)『草』っと」


 動画配信者が投稿した新たな動画に、『草』のコメントを残した。

 長文のコメントはなんだか恥ずかしいし、自己主張が苦手な彼には『草』がちょうどいい。他にするコメントは『うぽつ』や『おつ』くらいだ。


 随分前、彼が戯れに投稿した動画に、初めて付いたコメントが『草』だった。

 そのシーンは自分でも面白くなるように工夫した箇所で、それが認められたようでとても嬉しかったのを覚えている。

 動画投稿そのものはあまり興味が向かなかったので、投稿した動画はそれ一本だった。けれども『草』のコメントは深く印象に残った。

 それ以来、彼は面白いなと思ったシーンには欠かさず『草』とコメントしている。


 たまに『草』に派生して他の人がコメントを残すこともある。追い草、大草原、叢、草の連鎖に、この『草』は自分が最初に生やしたんだと、少し誇らしくなる。

 彼は様々な動画に『草』を生やした。ジャンルは問わず、面白い動画であればなんにでも生やした。


 ただ、『草』と。


 それが自身の天命であると感じた。

 長文など必要ない。自分の気持ちに、心に従って、ただ一文字を。


『草』


 精一杯の賛辞を込めて。


『草』


 抱えきれないほどの好意を込めて。


『草』


 あなたに届いてほしい。


あなたにも『草』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 大草原不可避
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ