と言うことで転生した。
初めまして。初投稿、パーカー至上主義です。ど素人なのでどうか温かい目で見てください。よろしくお願いします。
都内 某所 am 3:00
「ありがとうございましたー」
やっぱりコンビニはいいなぁ。24時間空いてるし、どこに行っても煙草が買える。
しかし、残念なことに最近のコンビニは灰皿の撤去が頻繁に起きているらしいじゃないか。由々しき事態とはまさにこのこと。
散々税金を上げまくったあげく灰皿は撤去とか、喫煙者の肩身はどんどん狭くなっている。ふざけるな、と声を大にして言いたい。
そもそもこの国はいろんな税を引き上げるほど逼迫してすらいないのにね。
が、そんな喫煙者の肩身が狭くなるこの国の中でも、ほぼ毎日通っていた青色が眩しいこのコンビニは、しっかりと灰色の円柱が鎮座している。
君にははなまるあげちゃいたいね
本日は満月、しかも真っ赤に染まっちゃったときている。珍しい上になんて素敵なパーフェクトプレイス。
きっとこの世界にはあの月ぐらい目を充血させてパソコンをカタカタしているエンジニアが沢山いるんだろうな。
とかなんとか思いながらビニール袋漁る。
キンッ シュボッ
「フー...あぁ最高にウマい」
煙草が美味い、は「何言ってんだ」と口を揃えて言ってくれるランキング10位以内に入る言葉だが、他にこれを表現する方法がないんだよなぁ。まぁ確かに人生最初の一口目は確かに不味かった。悪友から誘われた煙草だったが、付き合いで吸っているうちに嗜好品から生活必需品にランクアップ。ニコチンの魔力は凄まじい。
できることなら、もっと沢山吸いたかったと今更ながら思う。
けれど、モルヒネで痛みをぶっ飛ばしているこの肺癌の体はそれをあんまり許してくれない。
煙草を吸い始めてから3年弱しか経ってないのになんだってケチな神様もいたもんだ。
異世界にでも行けりゃ、何でもかんでもヒールで治っちゃうんだろうか、とか考えたりもした。けれど世の中はそんなに都合よくできていないらしい。人生でまだ20年分の経験値しか積んでない上に社会にも出てないからそんなに世の中のこと知らんけど。
社会人に進化すると理不尽沢山って言うしある意味この、心半ばで折れる感じ間違ってない?いやいやそんなことあってたまるかって感じありますけど。
あ。てかヒールじゃなくてキアリー?エスナ?まぁそんなことはどうでもいいか。
考えつつ1本目は灰皿に、2本目に火をつける。
ジッポの甲高い音が鳴り、炎はゆらめき白い紙に包まれた葉っぱがジジジと燃える。
赤くなり灰色になり白い煙が立ち上り、肺に入れた空気と一緒に煙を吐き出していく。
余命数日前。最後に吸った煙草は
命の味がした。
喫煙転生譚〜愛煙家なので異世界でも煙草だけは吸いたい〜
目が覚めた。生きていた。残念なことにまだもうちょい地獄の闘病生活が続くらしい。病魔さん仕事してくれませんかね。あーあ。
なんて愚痴が思想を巡る、
するとそこに激しい光が差し込む。まるで懐中電灯で目を照らされているような。
眩しい。さらに突如として、俺の体が持ち上がる。
え?え?なに?なに?
一般成人男性持ち上がったんですけど!
目もろくに見えないし、耳もろくに聞こえない。全身がヌメヌメしてるし、空気の感触が気持ち悪い。
あぁ、なんでだろう泣きたい。盛大に思いっきり声をあげて赤ん坊のように
感情が激流に飲まれて、そしてどうしてかただただ嬉しい。なんでだろう嬉しいなぁ。
あぁ、そうだ泣こう。
なんだかすごくよくわからない状態だけど、最新の医療なのかわからないけど、せっかくの気持ちだから大事にしよう。
よし、泣くぞ、俺は泣くぞ!
「オギャー!オギャー!オギャー!オギャー!」
あぁ、なんていい気持ちだろう。心が洗われていくような気がする。不思議と体の痛みもない。モルヒネが効きまくっているのか何か特別な措置が施されたのか?
体が軽い。羽が生えたみたいだ。かなり痩せこけたのは知ってたけど、にしてもだ。すごく軽い
「..............!...........!!」
「、、、、、。、、、、、。」
ぼやけていた視界がだんだんと光に慣れていき耳が聞こえ始めてくる。薄くしか開けられない目で周りを見るとそこには薄く微笑む亜麻色の髪の女性と泣き顔をした茶色の髪の男性、そして優しく微笑む綺麗な銀髪の女性が居た。
おっと、どちら様ですか。フリーハグを許せる外人のお友達なんて居ませんけど。
茶髪の男性はとても喜んでいるように見える。亜麻色の髪の女性もそうだ。銀髪の女性はなんだかとても疲れているように見える。汗もかなりかいているようだ。
それに周りをよく見れば病院じゃない。
木製の家?少し広いログハウスなのかな?結構広そう。しかし日本では見たことないような西洋風の作りに驚きが隠せない。
「..........!........!!......!!」
「、、、、。、、、、。」
それに、茶髪の男性は頻りに同じ言葉を銀髪の女性にかけている。なんだろう、この状況は?
そんなに俺の周りではちゃめちゃに騒ぐことあったのか?やれやれ、と手を顔に持ってくる。
そして視界の端に俺の手が映る。そこにあったのは癌で痩せこけた腕、ではなく小さく浮腫んだ手のひらだった。
ちっちぇ〜、なにこれ赤ちゃんの手.....え?
俺の体.....どうなった?
急いで自分を見る。するとそこには素っ裸になった赤ん坊の体があるだけ。
まさか、まさか、まさか!
嘘だろ?これってまさか、「転生」....?
てことはこの人はパパンとママン、亜麻色の人はわからんけど、じゃあ俺、外国人になっちゃった?
徐に茶髪の男性は銀髪の女性に俺を預けた。そして泣き続ける俺に、銀髪の女性は人差し指をかざす。
なんだなんだ?なにすんだ?
「........。........。」
言葉を喋るたびに人差し指に光が集まる、何もなかった空気から黄緑色の光が収束し、小さな光球を生み出していく。なんだ、これなんだ!
そして彼女は強くその言葉を発音した。
何一つわからなかったのに、その言葉ははっきり聞こえ、そして当然、意味もわかったのだ。
それは慣れ親しんだ言葉であり、とても渇望していた言葉の一つであった。
そして俺は全てを理解することになる。
「ヒーリング」
光が弾けて体に染み、そして体の形に沿って光が膜を形成。同時に、全身の赤く浮腫んだ肌が治っていく、
ヌメヌメした不快感や気持ちも落ち着きを取り戻していき、現実世界で思い描いていた通りに回復していく。
直感した。これは魔法だ。
ってことは異世界転生っすか....
.......
...........ぁ。
..................シャアァ!
ベットの上で俺の人生終わりか、しょうもないなぁとか考えてたのに二週目キタじゃん!しかもなに今の!魔法じゃね!?魔法なんじゃね!?ヒーリングって言ってた!回復魔法じゃん!すげー!全身のむくみが無くなってる!泣きたいあの気持ちも落ち着くし、ヒーリング効果ってやつか!二重の意味でってか!?開幕早々、トップスピード極めてくるじゃんよ!カァー!俺の魂捨てたもんじゃないぁ!
赤ん坊ムーヴから一転、異世界転生者、記憶持ち。神様的な人には会えず、ギフト的なものはもらえる感じじゃない。あ、○才で教会に授けてもらえるパターンか?期待できるな!
あー!だれか酒持ってきてー!ア○ヒかプレ○ル、○麦でもいい!
あと、何より煙草だ!転生したんだ!健康体だ!ヤニ持ってこい!
はぁー!最高だな、異世界転生もそうだけど、健康体ってのがいい、いやいや、最高、さいこ、...ん?
転生?
赤ん坊?
.....akannbou?
0歳....
待て待て待て待て、ジャパンだと煙草とお酒は20から。
ハタチから?
今の俺、...吸えんくね...飲めんくね....
そもそも、この世界に煙草、あるのか?
おいおいおいおい、ふざけんな。20年禁煙ですか?禁酒ですか?3日禁煙できずに病院を抜け出していたこの俺が?
20年禁煙ですか?
.........
.................
「おんぎゃぁっぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁx!!!!!」