4話。。金髪
夢。
夢を見た。
一人の子供が黒い影と戦う夢。
その子供は懸命に戦うが影はとても強く、容赦がない。
それでも全力で戦う。プライドのために、そして・・・・殺されて両親のために。
その子供は、俺と同じく両親を影に殺されているようだった。
悔しい、悲しい、辛い、苦しい。
子供の感情が俺に流れてくる。
「・・・・夢か。」
どうやらさっきのは夢だったらしい。
あまりにもリアルな夢だった。
流れてきた感情があまりにも大きく、俺は耐えられず起きたらしい。
俺は、額の汗を拭い、枕元に置いてある時計を見る。
「6時・・・30か」
今日は学校だし、いつもより少し早く起きたと思えば丁度いい。
俺は顔を洗うべく体を起こそうとベッドに手をつく。
「ふにゅ」
何か柔らかいものに触れたみたいだ。
そんな物あったかなぁ、と思いつつなぜか見るのが恐い、というか嫌な予感がしたので手触りを確かめる。
「ふにゅ、ふにゅ」
柔らかい。よく触ってみると、なだらかな丘みたいになっているようだ。
「・・・んっ」
艶めかしい声がする。
俺は恐る恐る手元を見る。
そこには金髪の少女が横たわっていた。
しかも俺の手はその少女の胸元にあるというよくあるパターン。
「・・・・夢、か。」
俺は、ふわぁと欠伸をするともう一度寝るために布団をかぶる。
そして横に寝ている金髪少女の顔をよく見る。
端正な顔だち。身長はそんなに高くないらしい。
幼い顔だが、どこか大人びている。
そしてめっちゃいい匂いがする。
なんていい夢なんだ。
神様GJ。
俺は、甘い匂いに耐えられず金髪少女をギュツと抱く。
・・・・・・ここで問題発生。
問題1。リアルな感覚。どうやら夢じゃないらしい。
問題2。金髪少女の目が開いてこちらを見ている。
問題3。起こしに来てくれたのであろう樞の視線を背中に感じる。
問題4。樞からの視線が殺気に変わっている。
さて、どの問題を最初に解いたものか。
俺は金髪少女から手を放すと、何事もなかったかのように寝たふりを開始した。
「ふ〜ん。お兄ちゃん、誤魔化すんだ。この状況を。」
樞からの殺気が2倍増した。
「ほら、早く起きるの。早く起きないと・・・・」
ん?なんかこいつ昨日と言葉遣い違う気が・・・・。顔はよくわからんがたぶん同一人物だと思ったんだが。
ぺろっ。
金髪少女の行動に俺の思考は停止した。
ぺろっ、ぺろっ。
金髪少女は俺の頬をぺろっとなめている。
妹からの殺気がやばいことになっている。
何?この状況!?誰か助けてくれよ!
俺の心の叫びなんて誰にも届かない。
俺に出来ること、それは・・・・。
「ごめんなさい。」
素早く起き上がって土下座をすることくらいだ。