3話。。プレゼント
「お兄ちゃん、遅い!」
食卓についた俺に樞が頬を膨らませる。
「わりぃ、わりぃ。」
俺が軽く謝るけど機嫌をなおしてくれない。
「まぁまぁ、久しぶりに家族揃ったんだし、仲良く、仲良く。」
この家の主である嘉那 継壱〈よしな けいいち〉が樞をなだめる。
「それより、早く食べましょ。」
マイペースに、盛られたおかずを小皿に分けているのが奥さんの嘉那 希結〈よしな きゆ〉。
おとなしそうに見えるが怒るとかなり恐い。
樞は、顔も性格も希結さん似だろう。
樞は、腰まで伸びた黒髪ツンとした目をしており、ぶっちゃけかなり可愛いと思う。
同級生に、紹介してくれ、と何度頼まれたことか。
その樞と姉妹くらいにしか見えない希結さんもやばいくらい綺麗だったりする。
「次はいつ行くんですか?」
俺はおかずをとってもらった小皿を前に頂きます。と、手を合わせて、美味しそうなささ身を口に運びながら質問する。
「う〜ん。たぶん、明日かな」
そう、この夫婦は何の仕事をしてるかわからないが二人揃ってよく家を空ける。
「はやいっすねぇ。」
俺の一言に「仕事だから」と苦笑する継壱さん。
「それで・・・・」
俺が継壱さんと会話していると希結さんがコホンと咳こむ。
「二人は進展しました?」
「ぶっ」希結さんの一言に思わず吹き出してしまう。
そう、この人は俺の血が繋がっていないことを理由に俺と樞をくっつけようとする。
本人曰く「見ず知らずのアホに娘を渡すよりよく知る人に貰ってもらったほうがいいでしょう?」ということらしい。
「希結さん・・・俺ら一応兄妹なんですし・・・・。」
俺は助けを求めるように継壱さんに目配せする。
継壱さんは苦笑して頑張れ、と親指をたてる。
「そうよ。なんでお兄ちゃんなんかと・・・・・・ブツブツ・・・。」
樞は顔を赤くしながら希結さんに反抗する。
「ほら、樞も嫌がってるし無理強いはよくないですよ?」
俺の言葉に希結さんと樞がため息をつく。
俺、なんかしただろうか?してないよな?
たぶん・・・。
「ほら、樹夜君も困ってるし。そうだ、プレゼント渡さないと」
継壱さんが助け船を出してくれる。
ん?待て。なんか忘れてるな。え〜と・・・・プレゼント?なにそれ?食えんの?
俺は少し自暴自棄になりながら二人が樞にプレゼントを渡すのを見る。
まず、継壱さん。
継壱さんのプレゼントは首飾りみたいだ。ビー玉みたいなガラスの球体の中に星をかたどった何かが入っている。
次に希結さん。
希結さんは本らしい。古く、見たこともない文字が書いてある本だ。
で、次は俺の番なんだが・・・・。
俺はみんなの視線を集めながら冷や汗をかく。
「・・・すみません。」
俺の一言に樞から軽蔑するような視線が。
「お兄ちゃん、何か頂戴。」
手を差し出す樞。
むぅ・・・・俺に何をしろと?俺はどうしようか、と頭をフル回転させる。 その結果。
「んなら、一つだけ何でも言うこと聞くってのはどうだ?」
という結論がでた。
俺の一言に樞はう〜んと考え込む。
しばらくたって「わかった。」と頷いておかずをつまみだす。
ん?本当によかったのか?
金が浮いてラッキーだったな。
と、継壱さんを見るとやっちまったな、的な顔で俺を見る。
ふと樞の顔を見ると・・・・・・にやけていた。ものすごく。
俺はなぜか嫌な予感がした。
継壱さんから教わったうちの家訓を思い出す。
『女性が怪しい笑顔をしている時は、逃げるべし。』
・・・・・・高校生活ずっとパシリ・・・とかないよな。さすがに。
しかし樞の顔を見てると・・・・・・。
「ニヤリ」樞はそんな擬音がつけられそうなほどににやけている。
その日の夜は言うまでもなく悪夢を見てしまった。