ストーキング
僕はヤケクソに追いかける。曲がり角を曲がった頃には彼女はさらに右へと曲がって歩いた。あそこは公園だ。一体なんのようがあるのか気になった。だから僕はただの通りすがりを装って一瞥して行こうと思った。僕は警戒しながら真っ直ぐ歩く。人通りは無く、僕だけだ。
平然だ。平然。僕は公園の範囲内に侵入した。横目で彼女がいる方を探ると彼女は、ブランコに座っていた。
なんでブランコ? そんな疑問と同時に違和感を感じる。公園には誰もいない、そしているのは彼女だけで、彼女は僕をまなじりをけっした目で僕を睨んでいた。
僕は困惑しながらそのまま通りすがろうとした。
「ねえ」
そうはいかなかった。彼女は僕を引き止める。しかしそのまま僕は逃げ出そうとした。
「お前だよ。ストーカー。お前しかいねえだろ」
僕は足取りを止めるしかなかった。そして僕は彼女のいる方へと体を向けた。
「失礼ながら僕には平塚って名前があるんだ。ストーカじゃないよ。まさかストーカさんって人がいるの? なら僕じゃないね。失礼」
彼女は僕を睨みつけながらダンマリを決める。そして彼女は間を置いて口を開けると「ムカつく」そう冷たく僕に言い放った。
彼女の眉間には皺が寄っていた。真っ黒に汚れた瞳が彼女の前髪の間からちらりと見える。気に食わなさそうに彼女は唇を歯形がつくほどの力で噛んでいる。
「ねえ、私のことずっと見てるよね」
彼女は冷たくボソボソと喋る。しかし声の芯には怒りが感じられた。
「見てるって?」僕は誤魔化す。
「ふうん、そうやって誤魔化すんだ」
僕は沈黙する。
「ねえ、何でそんなとこにいんの?」
「塾に行こうとしてるんだ」
「へえ、いつもとは違う道で塾に行こうってこと」
「いや、違うね、家に帰ろうと思ったんだ」
「あんたの家の方角と違うじゃん」
「そうだね」
僕は適当に返事をすると、彼女は力強く顔を振るように舌打ちを打った。
「あんた、頭いいんでしょ、もう少しマシな嘘でもつけば? それとも他人を見下してるからそんなふうに人を揶揄ってんでしょ。頭の代わりに人格が歪んじゃってんだね。理解したくないわ」
「そうやって人に暴言を吐くなんて頭悪いんだね。」
僕は彼女を煽った。
「.......気持ち悪い」
「もう少し暴言の語彙を増やしたらいいと思うな」
彼女はゆっくりとブランコから立ち上がる。そしてその場でかがみ込むと、彼女は小石をいくつか手にして、そして「死ね!」という叫び声と共に彼女は僕に向けて小石を投げつけてきた。僕は咄嗟に腕を構えて、小石を防ぐ。僕の腕にいくつか当たった後、僕はその場から急いで走り去った。
僕の背後からは彼女の狂ったように甲高い声で「しね!!!!しねっ!!!しねーーーっっ!!!」という抹消を望む声だけがあった。