絵本に宿る美積分(注:誤字報告不要です)
安野光雅先生がお亡くなりになりました。
謹んでお悔やみ申し上げます。
猫は、安野先生の絵本が好きでした。
『ふしぎなえ』、『ふしぎな さーかす』、『さかさま』、『はじめてであう すうがくの本』シリーズ、『もりのえほん』等々。
少し大きくなってエッシャーを知った時、元ネタがあったんだな、とは思いましたが、さほど、がっかりはしませんでした。
きっと、あの、小人達のせいでしょうね(笑)。
『はじめてであう すうがくの本』シリーズみたいな、ズバリのタイトルからも分かりますが、安野先生は数学がお好きだったようです。
なんでも、あの数学者(というより“品格”で有名になり過ぎちゃった)の藤原正彦氏は教え子なんだとか。
小学校の図画工作の教師として着任したはずなのに、授業中は算数の話ばかりしてたそうです。
で、『はじめてであう すうがくの本』シリーズなんですが、子供心に、これ、どこが“すうがく”? な内容も結構あったんですよね。
《なかまはずれ》《ふしぎなきかい》《くらべてかんがえる》《かずのだんご》《みずをかぞえる》《ふしぎなのり》《もじあそび》《まほうのくすり》《きれいなさんかく》《てんてん……》
特に、《ふしぎなきかい》《ふしぎなのり》《もじあそび》は、“すうがく”=さんすうのむずかしい呼び名、と考えていた猫には、謎でした。
猫が、かなり大きく(いや、残念ながら、背は大して伸びなかったのだが……)なってから、《ふしぎなきかい》が、関数の世界を数式を使わずに表現したものだと気付いた時、確かにあれは数学の本だったのだと納得しました。
ところで、よく、数学好きの方の話に出てくる、“美しい”数式って、何だと思います? それ、美味しいの?
“複雑な事象を単純な形に落とし込むのが数式であり、その単純さに美が宿っている”とか説明されたことがあるんですが、やっぱり、それ、美味しいの? でした。
いえ、単純な形にするとか、それが数式として表現できるとか、それ自体は意味があることだと思うんですよ。猫だって。
“美しい”ですか?
美に対する感覚は、個人差があるし、AさんとBさんとCさんとDさんとEさんと……(以下略)では、好みのタイプはまったく違っていたりするわけで。
みんなちがってみんないい by みすゞ です。
で、数学を語る人って、なぜか、揃って、“美しい”って表現するんですよね。
まぁ、数字の6に曲線の美を感じたり、それが、時には悪魔的に思えたりする人もいるんでしょうが……。
何だろう、食レポで“美味しい”しか言わない人を見てる感じに似てるのかな?
数学を、あるいは数式を、“美しい”以外の言葉で、もっと魅力的に語ってくれる人が現れたら、何か、もっと楽しくなれそうな気がする、猫なのでした。
そして、言葉ではなく、絵で、数学の持つ“美しさ”を表現し続けてくださった、安野先生は、やっぱり素晴らしい財産を残してくださったのだと思います。
改めて、合掌。