鏡の向こうの世界~左右が逆だったなら~
たまたま、左利きの方のエッセイを読みました。
いろいろ、思うところがお有りのようです。
特に、ビュッフェ形式や、ファミリーレストランなどで見かける、スープバーで遭遇する尖ったお玉(横口レードルという名称らしいです。)に対して、非常に残念そうでした。
あ、猫は、右利きです。
あのお玉は、確かに、左利きの方は扱いにくそうですね。
ちなみに、両方が尖ったお玉というものも、世の中にはちゃんと存在するようです(両口レードル。ただし、もはや、お玉っていう感じではないです。)。
で、思ったのですが、あれが、ここまで普及したのは、ひょっとしたら、左利きの料理人、シェフが非常に少ないからなのではないかな? と。
ヒトの10人に1人が左利きと言われていて、つまり絶対的に左利きの人口は少ないので、左利きの料理人だって、右利きの料理人よりは少ないはずですが、その比率が極端なのではないかと気になりました。
だって、左利きの料理人がいる店だったら、「これはダメだ! 両方が尖ってるヤツ用意しろ! 無ければ、普通のお玉にしとけ!」ってなるんじゃないですか?
まぁ、例のごとく、ネットで検索してみました。
日本料理の料理人に関しては、左利きの方は非常に少ないようです。
50年位前はまったく認められなかった、と書かれたブログもありました。
和包丁は全部片刃で、調理場のシステムも基本的に全部右利き用になっているため、大勢で調理をする場合に不利なのだそうです。
左利き用の和包丁はありますが、右利き用に比べ高価だとか(右利き用の1.5倍くらいの価格)。
また、左手で切ると、お刺身などが逆に倒れる形になってしまい、通常の、左端が上になる配置に並べなおす作業が必要になる、という点も問題になるようです。
安全上、お刺身など生ものは、直に触る回数は少ないに越したことはないわけで。
ただ、洋食やフレンチ、イタリアンなどは、それほど左利きの方に不利になることはないそうですよ。
猫は右利きであるため、あまり感じたことがなかったのですが、世の中は多数派の右利きに便利なようにできていて、左利きの方には不便なものが、結構あるようです。
駅の自動改札のタッチ画面で、変なポーズになる。
財布が使いづらい。
クリアファイルの絵が裏側になる。
洗剤の容器もなにげに持ちづらい。
銀行などのチェーン付きのボールペンが使いづらい。
ゲームのコントローラー(“アクションボタン” が右側)が使いづらい。
スマホ(サイドにボタンが付いたタイプは右利き前提らしい)が使いづらい。
手帳型のスマホケース(多くが「右から左に開く」作り)が使いづらい。
電動工具は特に危険。
心理学を専攻する学生から「調査対象」にされることが多い。
「G」という文字が書きづらい。
「チェックマーク(レ点)」が付けづらい。
メジャーは目盛りが逆さま。
回すタイプのドアノブやコンロのつまみが使いづらい。
電球の付け替えがうまくいかない。
左利き用のハサミも実は使いづらい。
などなど……。
左利き用のハサミ? なんですが、いつの間にか右利き用のハサミに慣れていることが多く、かえって使いにくいと感じる方もいるようです。
利き手に関係なく、男女で衣服のボタンの位置が逆になっているのだから、慣れの部分は、意外に大きいのかもしれません。
にしても、左利きの方には大変申し訳ないのですが、持ちやすいように“ちょっとした角度の工夫がされている”ものも右利きが前提ですよね。あれもこれも使いづらいという事実を知って、右利きで良かったと思ってしまう猫でした。
服のボタンの件も、ちょっと考えたら、利き手の関係ですね。
ボタン付きの服は、縫製に手間のかかるため、昔はとても高価で、宮廷に出入りするような上流階級用。ヨーロッパの上流階級の一般的な習慣として、男性は自分で服を着替え、女性は自分では着替えず使用人にさせていた。
(右利きの)男性が自分で着替えやすいよう、女性は(右利きの)使用人が着替えさせやすいようにボタンとボタンホールが配置されたというわけです。
女性が自分で着替えるようになっても、この配置は変わらなかったのですが、とすると、右利き女性は、かえってボタンの止め外しがしづらい服を着ていることになります。
が、慣れの影響なのか、ボタンの止め外しに関しては、あまり違和感を感じることはないようです。
“彼シャツ”とかで、「あれ? ボタン止めづらいな。」には、なりそうです。
ニ〇ンとキヤ〇ンのレンズのズームリング・ピントリングの回転方向や着脱の回転方向が逆というのも、割と知られた話ですが、これも、右利き・左利きというより、どちらのメーカーのカメラがファーストカメラだったか? の方に影響されることが多いとか……。