Part.02 殺能者
「この街は殺能者多かったけどなんとかなったねぇ」
「あぁ、しかしまだそこらに沢山残っている、油断は禁物だ」
「案外強いやついますもんねぇ、農家とかベーシストとか」
「うむ、我々も今は事足りているがいずれ手に及ばぬ難敵が現れるやもしれんからな」
...彼らは何処へ向かっているのだろう。忍服の人は僕を背負って路地裏を進んでいく。女の人は持っている武器を引きずりながら周囲を警戒しつつ着いてきている。彼女の持つ武器...『止まれ』と描かれた標識にはぎっとりと血がこびり付いている。───ほんとに彼らに着いてきて良かったのか?
「よし、着いたな」
相変わらず路地裏であるが、彼らは下を見下ろしてそう呟いた。目線の先には...マンホール?
「シックス、少年を治療所まで案内してやるのだ、俺はまだ他に逃げ遅れた者がいないか確認してくる」
「了解で〜す。坊や立てる?」
「あ、はい、大丈夫です」
「ん、じゃあその中入って、急がんと見つかっちゃうから」
「わ、分かりました」
まさかこのマンホールの下に拠点があるというのか...?そう思って降りてみた───が、そこにあったのは少し嫌な臭いが充満する下水道だった。
「こっからもうちょっと歩くけど、大丈夫?さっきみたいな人らはいないから安全ではあるけど」
「大丈夫です...」
「そう?じゃあ行こ〜」
この下水道の先に彼らの拠点が...?まだこの人達が信頼できる人なのか分かっていないが、ひとまずこの人に着いて行こう...
「あ、あの...」
「ん〜?どしたの?」
「え...っと、お名前は...?」
「私?無いよ」
「無い...えっ無い?」
「そうそう、生まれてすぐ捨てられたから名前なんてないんだ〜」
「す、すみません」
「謝らなくてもええよ〜。あ、皆からはシックスって呼ばれてるよ、ほらここ、右腕に数字書いてあるでしょ?私ら身体の何処かに数字が書いてあるようにしてるの」
そういえば忍の人の背中にも『01』って書いてあったな...
「敵にバレて情報が漏れないようにするために皆偽名を使うの、まぁ私の場合名前から無いからそう呼ばれてるというよりそれが名前なんだよね」
「敵...って、これって誰かが意図的に引き起こした事態なんですか!?」
「...今のところそういうことになってるの。でないとなんら変わりなく生活してた人達がこんな多くの人数急に狂い出すとは思えないでしょ?」
「た、確かにそう...ですね...」
「そして彼ら...急に狂い出した能力者、殺能者には、君も分かってると思うけど色々な種類がある。中にはスパイだの偵察隊員だのもいないとは言えない、だから少しでも自分の情報を隠すためにね」
そこまで言うと彼女は少し明るめの声で、
「そろそろ着くよ〜」
と言った。そして彼女の言った通り、右を曲がればそこに広がるのは──
「しょ、商店街??」