1 第三王子との日常
悪役令嬢はついでの設定・・・年の差がある異世界カップルが書いてみたくて書いてみてるので、甘いのが苦手な方はご注意を(^_^;)
生まれてから37年・・・貴族令嬢として完全にいきおくれた私、ロゼ・セリスタはこれまでも人生で色々学んできて、世の中なかなか不思議に溢れているというのを知ってはいるが・・・今ほど不思議な状況を私は知らない。
「うーん・・・やっばりロゼの膝が一番心地いいね」
「はぁ・・・そうなんですか」
私の膝の上には金髪の美少年が寝転がっており、私はそれにただただ唖然としながらも、なんとなしにその綺麗な金髪を撫でながら生返事をする。
「うん・・・流石は僕の嫁だよ」
「トラビス王子・・・私はまだ王子の婚約者なだけで嫁ではありませんよ」
そう・・・私の膝の上でのんびりとしている美少年はこの国ーーーラフレシア王国の第三王子こと、トラビス・ラフレシア様なのだ。そんな高貴な方であるトラビス様は私の台詞に口を尖らせて言った。
「ロゼ。二人の時は呼び捨てにするって約束忘れたの?」
「・・・覚えてますが、ここが学校であり、尚且つ私はトラビス様の担任なのでそこまでプライベートにはなれませんよ」
そう・・・現在位置は貴族が通う学園の屋上。そして、私はその学園で教師をしているのだ。だからこそいくら婚約者とはいえまだプライベートではないのでそこまで砕けた態度ではいられないのだが・・・そんな私に構うことなくトラビス様は私の膝の上でのんびりとくつろいだ様子で言った。
「婚約者なんだからこうしていたって何の問題もないだろう。それにこんな姿を見せるのはロゼの前だけだしね」
そう・・・トラビス様は私の前以外では常にイケメンオーラばりばりの優しい貴公子然とした態度をとっており、第三王子という王位継承権が低いながらも貴族の令嬢達からはかなりの人気がある人物なのだ。しかしあくまでそれは表向きの顔らしく・・・私の前ではわりとベタベタと子供のように甘えてくる様子はなんとなく可愛く感じはするが・・・
「とりあえず、この後も私は仕事がありますのでトラビス様は用がないなら早くお帰り下さいね」
「相変わらず外ではロゼは先生なんだねー・・・まあ、そんなところも好きなんだけどね」
さらりと言われた言葉になんとなく嬉しく思ってしまうが・・・そもそもの問題として、私とトラビス様では20才の年の差があるので、本来は私のようないきおくれの年増が接していい方ではないはずなのでなんとかその感情を抑える。
「トラビス様・・・やっぱり私のような年増とは婚約を解消して別の方と縁談を結ぶ気はーーー」
「ないよ」
即座に却下された。いや、もちろん私としてはこんなイケメンさんと結婚できるのは嬉しくないわけではないが・・・やはり、トラビス様のような素敵な方には私よりも若くて爵位も上の人と幸せになってほしいという気持ちになる。
「ですが、私は貴族世界ではすでに老いた、いきおくれの年増なのです。そんな私と婚約などしてもいいことは何もありません」
「ロゼは可愛いよ。それに僕はロゼ以外と結婚なんて絶対に嫌だから。ロゼこそ早く嫁入りする覚悟を決めなよ」
これは常からよく私とトラビス様の間で発生する会話・・・そもそも私がどうしてトラビス様の婚約者になったのかーーーため息混じりに私は思い出す。