7話―②―予想外の強敵
翌朝。今日は森を出る日。
ついに、思えば俺はこの森で目が覚めてルカがいて、ゴブリンを倒してカードを手にした。
カードを増やしてリーダーと戦ってリリーシャと出会った。
いろいろなことがあったな。それも今日でお別れだ。ここの果物は最高。
だけど俺はここを旅立ってカードを集めたい。ゴブリンだけじゃない。この世界にはもっともっといろいろなモンスターがいて、それと同じ数のカードがあるはずだ。俺はそいつらと出会いたいんだ。あとお風呂にも入りたい。
よし、行くぞ!
今日も先生に先導してもらう。
森を進む。先生はアトスコシ! といった。
ワクワクしてきた。森の先には何があるのだろうか。
そして進み続けると森の果てが見えてきた。
日の光が段々と強まって来てその先の世界が視界一杯に飛び込んできた。
草原だ。
森の先は背の低い瑞々しい。草と花が広がっている。
それをさらに西に真っ直ぐ進む。道なんてわからないけど。とにかく進む。
「条件を達成。サマナーデバイスの機能がアンロックされました」
「なに!? 何故今! 何が増えたんだ?」
「マップ機能と気配探知機能が追加されています」
「なんだそれ! すごい!」
俺は早速モニターで新しく現れたマップというのをタップして起動した。
するとここ周辺のマップが表示される。
うん。見事に草原しかないが、もっと広範囲に見えないものだろうか。
スマホの様にピンチインするとマップが縮小した!
だけど灰色に塗りつぶされていた。遠くまではわからないのか。せめて町までの道が分かればな。
「マップはもっと遠くまで表示出来ないのか?」
「サマナーレベルが上がると表示可能範囲が広がります」
「気配探知というのは?」
「動物や人、モンスターが近くに存在する場合、マップ上に色別で表示されます」
なるほど。今見ても何もないな。もっとマップを広げられたらいけるかもしれないけど。
「とにかく、今は先に進むしかないか」
ふと横を見ると、さっきまでいたリリーシャの姿がいなかった。
「マスター、見てください! ここきれいなお花がたくさんありますよ!!」
そういって花を3つほど摘んではこちらに駆けよってきた。
「ほら! このお花なんてとくに綺麗なんです!」
そういって渡してきたのは純白な花。彼女にぴったしだ。そういおうとした時、上空から鼓膜が破れそうなほどに大きく重低音極まる咆哮が聞こえ、そしてドゴン! といって地面が揺らめいた。
後ろに振り返るとそこには――巨大なドラゴンがいた。
一瞬俺は思考が停止し、何が起こっているのか理解できなかった。
「マスター! 真っ黒なドラゴンですよ! 強そうです!」
リリーシャの声で復活!
「かっけえええええええ!!! ど、どらごんだあああああ!!」
そう! ドラゴンと言えば! ファンタジーの代名詞! 男の憧れ!!
見てみたいファンタジー生物ナンバーワン!!
しかもこれは黒いドラゴン! 俺の心の奥底に封印したはずの闇の力(別名を中二病ともいう)が溢れだしてきそうだぜ……。
それにしてもでけぇな。倒れてるのに高さで3mはある。横なんて目測じゃ無理だ。
ってかなんで倒れてるんだ?
「ドラゴンさんなんか弱ってるみたいですよ!? 一体どうしたんでしょうか」
そういえば鱗とかがぼろぼろだし、誰かに酷くやられたとしか考えられない。
「あっ怒った」
こちらを見ての怒りの咆哮。鼓膜を揺るがし、口元からは黒い炎が迸っている。
え? え!? そういえば。なんでドラゴンがいるの? なんで落っこちてきたの! なんでこちらに敵意を向けているんだ。
誰かにやられて気が立ってるとか!? やられて逃げてきたけど見た感じ弱って落ちてきたのか?
それにしてはそれを追うもの影は見当たらないけど。
っておいおいおいおいおい。やめろやめろ。こっち見るな!! 見ていいのは俺だけだから!
もしかして俺こんなのと戦わなきゃいけないの!? あんなでかいドラゴンと!?
むりむりむりむり! 第一俺はゴブリンカードしかないんだぞ!! どうやってドラゴンと戦うんだよ!!
昨日はゴブリンキングと戦ったけど種族がかけ離れすぎだろうが!!
でもちょこっとステータスなんか覗いちゃったりして……。
[モンスター(大型)]
名 前:黒炎竜
H P:400/3200
攻撃力:3200
防御力:3200
あっつよーい! さっすがドラゴン!! 素のステータスでこれなのか……。キングが素で1000だからかなり違う。あたりまえだけど。
でも俺見ちゃったぞ! お前HP少ないだろ!! へへ。いっちょまえに挑発しやがって。何がドラゴンだよ! 俺が逆にかりとってやるぜ!
あっ。すごい睨まれた。やっぱこわい。逃げようかな。あいつそんな追って来ないはずだし。でもブレス吐かれたらひとたまりもないぞ!
「マスター。相手は手負いですよ! ちゃちゃっと倒してカードにしちゃいましょう!! 追い剥ぎですよ! 追い剥ぎ!」
「追い剥ぎの使い方間違ってるだろ! てか女の子がそんな言葉連呼するな!」
でも、すごく魅力的だ! このかっこいいドラゴンをカードにして召喚出来ると考えるとよだれが止まらないぜ!
「よし決めた!! ファンタジー初ドラゴン! 倒して見せるぜ!!