7話―①―出立準備
「マスター。その……」
戻って来たリリーシャは何やらもじもじしている。
これも美しい。
一体どうしたのだろう。
「どうした。もしかしてどこか怪我したのか!?」
「いえ、そういうわけではないのですが……いえ、なんでもありません。それよりも後始末を始めてしまいましょう」
「お、おう。そうだな。もし何かあるなら教えてくれ」
「はい、マスター」
すこし名残惜しいが、戻すか。
「カードリセット」
「状況をリセットしました。お疲れ様です。マスター」
出ているカードを全部戻すとリリーシャが自分で出てきた。
「マスター!」
といって抱きついてきた。リリーシャは今回の一番の活躍だったな。
「リリーシャ今日は助かったよ。ありがとう」
「い、いえ……。そんなことないですし……」
といって顔を赤くした。かわいい。ソードプリンセスもいいけど今のリリーシャもまたよい。
「よし、それじゃあカード拾うか。大変だぞ!」
「わたし、手伝いますね!!」
カードは基本的に使える俺にしか拾えないけどリリーシャは精霊ということで俺の代わりに拾えるらしいのだ。いつも助かっている。
まずは……こいつか。
[ユニットカード]
名 前:ゴブリンキング
コスト:4
攻撃力:1000
防御力:1000
【効果】デッキに存在するゴブリンリーダーを2体まで召喚する。すべてのゴブリンと名の付くユニットは、場のゴブリンと名の付ユニットの数×50だけ攻撃力と防御力が上昇する。10秒に1度、1体のゴブリンと名のつくユニットの破壊を無効にする。
なんと効果が3つもある! しかもどれも強い。さすが王というだけはあるな。
これ1枚だけでもかなりゴブリンを展開できるし、そして強化も同時に出来てしかもそれが減るのを阻止できる。
攻守一体の効果だな。
ソルジャーが戦闘に特化ならこっちは王なだけあって集団を強化して統率する効果だ。
すばらしい。
「カードの取得を確認。サマナーレベルが3から4に上昇しました」
きたきたあああ!!
「新しいサマナースペルがアンロックされました。モニターにて確認して下さい」
早速見るぞ!!
[サマナースペル]
名 前:レイズテッド
コスト:0
【効果】手札を2枚墓地エリアへ送ることでそこに存在するユニットを1体蘇生召喚する。ただし蘇生できるのはカードのみであり、コストとして捨てられたカードはこの効果の蘇生対象とすることができない。
[サマナースペル]
名 前:アナライズ
コスト:1
【効果】対象物の詳細を知る。
[サマナースペル]
名 前:レベルアップ
コスト:1
【効果】レベルとつくユニットが場に存在する場合、そのレベルを強制的に上げることができる。
[サマナースペル]
名 前:レベルダウン
コスト:1
【効果】レベルとつくユニットが場に存在する場合、そのレベルを強制的に下げることができる。
[サマナースペル]
名 前:バリア
コスト:2
【効果】前方にダメージを吸収する障壁を展開する。この時、障壁のダメージ許容量は500にサマナーレベル×100ポイントを加えた数になる。この値はサマナーの防御力計算後に減少する。
[サマナースペル]
名 前:ヒール
コスト:3
【効果】味方1体をサマナーレベル×100ポイント回復する。
[サマナースペル]
名 前:キュアネス
コスト:4
【効果】味方1体の状態異常をすべて解除する。
[サマナースペル]
名 前:クリエイトエントランス
コスト:4
【効果】入り口作る。
[サマナースペル]
名 前:カスタマイズ
コスト:4
【効果】カスタマイズする。
来ました! 状態異常を治す魔法! やっぱこれがないとしまらないよなー。もうこれで食中毒は怖くないぜ!
あとの2つの魔法。なんだこれ。説明欄が説明してない。おい! もっとまじめに仕事しろ! 上はただ日本語に直しただけ! 下はするをつけただけじゃねーか! これじゃわからんぞ! なんだよ入り口って!
「ルカ! 新しい魔法の説明欄なにこれおかしい! これじゃあわからないよ!」
「条件を満たしていません。条件を満たした場合、説明欄はアップデートされます」
「その条件ってのは?」
「わかりません。情報がありません」
ダメか。ルカも知ってることしか知らないからな。
とりあえず、今はカードを拾っていくか。そのうちわかるだろ。
――
「ふぅ。これで全部か」
「大漁でしたねー」
朝出発したのにもう夕方だ。森を出るのは明日になるだろう。
「でもいざこの森を出られるってなったらなんだが感慨深いものがあるな。未だにマスも食べ足りないし……とはいっても保存効かないから持ち出せないよなー」
「そんなことならわたしにまかせてください! マスター」
「なんだと! 持ち運べて保存する方法があるのか!?」
「大丈夫ですよー。ちょっと待ってて下さいね! これをこうしてー」
彼女は名無しのカードとペンをどこからか出してカードになにやらを書いている。
「できました! これでこのカードにはものを入れられてしかも時間が経たないのでいつまでも保存ができるようになります!!」
「ホントか!!」
無名だったカードには保存と書かれている。ためしに近くに落ちている石をカードにくっつけるとするっと入っていき、カード絵に石が映った。
「なるほど! これは便利だ! 助かるよリリーシャ!」
「えへへー」
「これはどのくらい入るんだ?」
「いっぱいです」
「いっぱいって……具体的には?」
「とにかくいっぱい入ります!!」
「お、おう。わかった。いっぱい入るんだな。よし、じゃあ今日はゴブリン先生達に一杯とってきてもらおっと!」
うへへ。夢が広がる……。
先生を沢山(10体)召喚して果物の採取をお願いした。
そして俺は塔を出して、シャワーをあびることにした。もちろんリリーシャは締め出すことを忘れない。
「むー。わたし今日頑張ったのに!!」
それとこれは話が別だ。
先生たちの収穫が入り次第収納する。同時に食事もする。
食事後はいつもならガチャをするのだが、見てみるとユニットパックのゴブリンパックにはComplete!! と書いてあった。全種集めたってことかな。SPは今日の分だけで2480ポイントも入っている。キングは中型種らしいから今までの2倍、コスト×20の値になるそうだ。
全部スペルガチャに費やしてもいいのだが、明日森を出るということで何が起こるかわからないのもあってひとまずとっておくことにした。ガチャはもう結構回したしな。必要な時はまた回そう。
ゴブリン先生はまだ働いている。ありがとう。もう頭が上がりません。
その夜、俺は遅くまで起きて果物を大量に収納してから寝た。




