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異世界デュエリスト~俺だけが命がけのカード召喚士~  作者: えっくん
たくさん召喚してパワーアップ ゴブリンデッキ!
23/27

6話―③―剣姫

「なっ!?」



 意味がわからなかった。一体何があったというのか。


 下を見ると白い光ととも塔が砕け散っているところだった。


 そうか。この塔。耐久が0になったのか。


 そういえば俺全然耐久のことを見ていなかった。敵の遠距離手段はメイジだけ。こいつらをやれば問題ないと思っていた。


 目を這わせるとメイジはまだ残っていた。散らばっている個体もいたから全部は倒しきれていなかった。


 俺はすこし、このディフェンスタワーを過信していたのかもしれない。


 この高性能な塔にいて進化したリリーシャがいて、気がつよくなって油断していたのだろう。


 あぁ、俺、どうなるんだ? 死ぬんかな……。


 てかこの高さから落っこちて生きてるほうがおかしいか。油断大敵、まさに自業自得だ。





「マスター!!」


 リリーシャの声が聞こえて、我に返った。


 彼女は俺の体を抱えるようにしていた。こういうことって本当は男がするものじゃないのか。


「大丈夫です! わたしがなんとかしますから!!」


「なんとかするってどうやって」


 彼女は杖をどこかへやら投げてから体を下に向かせると右手をつきだした。


 ぶぅんっという低い音が響いて彼女の手からは何やら波動が飛び出て空間を歪ませると、落ちる速度が大きく低減される。


「こうして魔法を使わなくても魔力を放出すれば衝撃波みたいなものが出せるんですー。すごいでしょ!!」


 そういって彼女はさらに力を入れた。


「そ、そうだな。すごいよリリーシャ。おかげで助かった」


「このくらい当然ですよ! わたしはマスターの右腕なんですから!」


 こういうリリーシャはなんだかすごく頼りになってすごくかっこよかった。





 ピタッ。と地面に足が付く。抱えられた俺がなんだかお姫様みたいでなんだか気恥ずかしくて彼女の手をほどいた。


「むー。もうちょっと触れ合っていたかったのにー」

 

 頬をふくらませるリリーシャ。何をのんきなことを。なんていおうとした時。敵、キングの攻撃が目に映った。


「あぶない!」


 横薙ぎの剣筋から逃れるため、リリーシャの頭を下げさせ、横に大きくころがった。


 まずいまずいまずい!


 リリーシャは今メイジ系統。近距離は苦手だ。


 爆撃するにも防御力1500のキングに速攻性はない。


 そして衝撃波を出せると言ってもキングの速さに対応出来るとは思えなかった。




 系統を変更しなければやられるっ。



「サマナースペル発動! レベルダウン!」

「レベルダウン発動します」


 リリーシャは進化前に戻り。もう一度。


「サマナースペル発動! レベルアップ!」

「レベルアップ発動します」


 進化先を選択する。


「カードの精霊リリーシャよ! 己の力でゴブリンソルジャーの力を一段階昇華させ、その身と結合させよ。エヴォリューション!!」



 勝ちを確信したのか。無様な俺達を笑い、のろのろと歩いていたキングだが、異変に気付いて駆け出してきた!


 間に合え! 間に合ええぇ!


「ゴブリン、ソードプリンセス!!」



 キングの剣撃が迫る。ここで終わりなのか。まだ、終わりたくない!



 ガキン!! 激しい金属音が響く。



 あれ、俺、まだ生きてる……?



 キングを見るとその顔は驚きに満ち、片方の剣はぽっきり折れ、その体に大きな傷を負っている。


 そして次の瞬間には背後からもう一閃。攻撃を食らったキングは何も反応できず、光となって砕けた。


 その動き、華麗にして一点の綻びなし。


 緑の長い髪が風によって靡き、普段からは想像出来ないほどの凛とした表情には思わず見とれてしまうほど。


 着ている足元まである緑色のドレスアーマーはかっこよく。だがゴブリンとつくからか、ところどころにほつれがあったりする。



 どうやら、リリーシャの進化が間に合ったようだった。



 [ユニットカード(召喚中)]

 名 前:ゴブリン ソードプリンセス リリーシャ

 H P:900/900

 攻撃力:3100

 防御力:900



 ソードプリンセスはソルジャーの効果を2倍にする。その結果10体(自分も含む)いれば攻撃力は2000もあがるのだ。


 最初のキングの攻撃をリリーシャの攻撃で受け止め、600のダメージ。

 次の攻撃で背後を取り、完勝。


 これがさっきの全貌だ。もともとリリーシャは速度が育っている。その上でこの攻撃力を得ればキングとて苦戦したりはしない。



 リリーシャに対して何も言葉をかけられないままいると彼女は右手の剣を地面に突き刺し、片膝をついた。



「マスター。残りの敵はわたしが討ち果たして参ります。どうか、ここでお待ちください。すぐに終わらせて戻ってきます。その時は……」


 そういって彼女はぶんぶんと顔を振って念を退けた。


「わ、わかった。き、気をつけてね」


 彼女は頭を下げると、身を翻していく。



 そうだ。ソードプリンセスになるとき、リリーシャは服装のみならず口調も変わるのだ。


 ウィッチと何が違うのかはわからないが、進化先によっては変化の程度が違うということなのだろう。


 最初に見た時はお前誰だよ! と突っ込んだりしたものだが。


 周りを見渡すと建物系は塔が壊れた時に全部壊れてしまった。だがユニットは無事。


 ゴブリン達にリリーシャのサポートをさせようかと思ったけど必要ないか、と考え直した。


 最初にソードプリンセスを出さなかったのは敵の遠距離攻撃が多いから。今はそれが殆ど潰えてしまっているのでもう彼女の敵はいないだろう。





 予想通り、彼女はすぐに戻ってきた。



 戦いは終わったのだ。敵ゴブリン141体。大変だったけど、なんとかなったぜ!!(全部リリーシャのおかげ!!)

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