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異世界デュエリスト~俺だけが命がけのカード召喚士~  作者: えっくん
たくさん召喚してパワーアップ ゴブリンデッキ!
21/27

6話―①―火の雨

「バトルモードへ移行! ここで勝って、俺は森を出るんだ!」

「バトルモードへ移行します。状況をリセット。デッキシャッフル完了」


「ドロー!」


 手札は悪くない。今この場所は森のなかでも比較的(ひら)けている。


 どういう風に展開するのがいいだろうか。数では勝てない。かといってステータスで勝るわけでもない。


 だが武器屋などの建物カードを使う場合、スペースのある開けた場所の方がいいのか?


 開けた場所だと建物系はメイジにとって格好の的になるが、だからといって密集しているところでは建物系を呼び出すスペースがない。それはまずい。敵側になくてこちらにあるこれはいわば切り札のようなものだ。


 勝ちをつかみとるにはこれらを活用するしかない。これを軸に回していくしかない。


 とりあえずできることをやろう。バトルモードへ移行してから考え事で時間が経っている。マナは8ある。いける!


「サモン! ゴブリンリーダーかける2!」


 光が現れ、リーダーが2体場にでる。


「リーダー2体の効果発動。デッキよりゴブリンを合計で4体召喚する! さらにスペルカード発動! ゴブリンの武器屋!」


 これで場のゴブリンユニットは6、武器屋が1。


「ゴブリンの武器屋の効果発動。場のゴブリンを一体墓地エリアへと送り、デッキよりソルジャーを召喚!」


 効果を使用したことで武器屋の効果はクールタイム(冷却時間:効果が再使用できるまでの時間を指す)に入った。カウントは20秒。


「サモン! カードの精霊リリーシャLV1!」


 今までリリーシャと戦ってきてわかったことはリリーシャは何回シャッフルしても必ず最初のドローで手札に来ることだ。


 さすがに俺の力のカード。


「リリーシャ平気か? 敵は多いぞ」

「あったりまえですよ! 敵なんてわたしが全部なぎ倒しますから!!」


「頼もしいな」


「リリーシャの効果発動。手札を1枚墓地エリアに送り、デッキよりゴブリンフォースのカードを手札に加える」


 カードスロットから出てきたカードを手に取り直接それを発動させた。


「ゴブリンフォース発動! 場に存在するゴブリンソルジャーを破壊。能力と効果はリリーシャへ!」


 ソルジャーは光となって消え、それはリリーシャに吸い込まれていく。


 真っ白だった彼女の髪に少し緑が入り、剣を装備した。そう今まで白はリリーシャのドレードカラーだと思っていたがそうではなかった。彼女の白は白であるとともに無色。フォースで吸収することでその色に染まっていくのだ。ゴブリンは森の精霊らしいので色は緑。


 吸収が成功し、リリーシャのステータスが上昇した。



 [ユニットカード(召喚中)]

 名 前:カードの精霊リリーシャ(フォースLV1)

 H P:300/300

 攻撃力:1150

 防御力:500



 まだフォースレベルは1だがもうかなり高くなっている。これもソルジャーの効果を吸収したからだ。ゴブリンをもっと増やせば攻撃力はもっと上がる。この値さえあればガードナーとキング以外戦っていけるがメイジの弾幕があるので突っ込ませるのは下策だ。防御力もHPもないのだ。ただのゴブリンの攻撃一発当たるだけでお陀仏だ。

 フォースが使えるのはリリーシャの効果で20秒に一度。3回吸収するなら進化まで最低40秒はかかる。


 それまでは耐えなければ。


 今の手札は今までにドローした2枚。マナは4まで回復。


 ふと前方より火の玉が現れた。早速来たか。どうやら同士討ちを避けるため、先に魔法攻撃をするようだ。


 こちらはそんな心配はないがあちらは普通に味方に攻撃が当たるのだ。


 幸い敵のメイジは比較的に固まって攻撃しているため、そこまで避けづらいわけじゃない。


「散開! まず敵の攻撃に当たらないことを再優先するんだ。余裕があれば近くの敵に攻撃を加えろ。リリーシャ。突っ込むんじゃないぞ!」


 指示を飛ばすとみんな散らばっていった。


 火の玉は飛んでくるがみんな上手く避けているようだった。


 だがそのうち火の玉のいくつはユニットではなく武器屋にめがけてくる。


 くそっ。やはり狙われるか。敵のメイジの数は20。こちらにリソースをさくのなら味方ユニットはその分安全だと考えよう。


 その中で2発が着弾した。


 武器屋に火が移る。


 ゴブリンの武器屋


 耐久 2800/5000


 敵のメイジの攻撃力は1100。あと3発で沈むぞ。


 キングがユニットに攻撃が当たらないことにしびれを切らしてメイジ達に武器屋への一斉攻撃を命じたようだ。


 一斉にこちらを向き、そして20の玉が飛んできた!


 こりゃやべぇぞ。



 だが。


 やらせるわけにはいかない!


「手札よりスペルカード発動。竜巻! コストとして手札を1枚墓地エリアに送る!」


 宣言しながら竜巻のカードを玉と武器屋の中間地点に投げ込む。そう、ルカが提示した召喚方法、たしかにそれほど違いはないが、この投げる方法はすこし他とは違い、なんとカードを投げ込むことで召喚地点を指定出来るのだ。


 玉の射線に入らないと届かないのは危ないがこのくらいのリスクは犯さなければ。



 竜巻のカードが空中で止まると光り、巨大な竜巻に変化した。


 竜巻本来の攻撃力は600相手の方が500も上だ。


 ユニット同士の攻撃がぶつかると高いほうが勝つが、竜巻はスペルカードだ。


 スペルカードの効果は効果自体を打ち消す以外では消滅しない。


 事前の検証で竜巻は攻撃だと600しかダメージを出さないものの盾として使うなら今のところ敵のすべての攻撃を遮断できることがわかっている。その分レアなのかあれだけ回して1枚しかないのがネックだが仕方がない。


 だからこうして射線に立つリスクを負う気になっているわけだ。



 竜巻を操作して微調整し、敵の玉の全部の進路をカバーさせる。



 ジュッという音とともに火の玉が竜巻にぶち当たっては消えていく。


 竜巻の持続時間は12/15秒となっている。あと……12秒で俺は準備をする。


 リリーシャの効果のクールタイムは終了している。


「リーダー2体の効果発動。墓地エリアよりカード2枚を手札に加える!」


 リリーシャと竜巻の効果で送ったカードを回収する。これで手札は4枚。


「リリーシャの効果発動。手札1枚を墓地エリアへと送り、墓地エリアよりフォースのカードを手札に加える!」


 そしてまた出てきたカードを発動する!


「スペルカード発動。ゴブリンフォース! 場に存在するゴブリンリーダーを1枚破壊し能力と効果はリリーシャへ」


 プレイヤーから離れたユニットの様子はモニターのウィンドウを通して見ることができる。


 リリーシャは無事強化されたみたいだ。



 [ユニットカード(召喚中)]

 名 前:カードの精霊リリーシャ(フォースLV2)

 H P:300/300

 攻撃力:1400

 防御力:750


 

 よし。髪の色を見れば強化出来ているのかもわかる。武器屋のクールタイムも終わっているのでゴブリンをソルジャーに召喚しなおす。


 そして追加召喚。


「サモン! ゴブリンメイジ、ゴブリンガードナー」


 そしてついに竜巻の効果が終わってしまう。


 それをよしと見たのかまたメイジの攻撃が飛んでくる。


 たしかに強化と追加召喚は出来たけどこの量の攻撃はもう躱せないぞ!


 しかたないので武器屋から離れることにした。



 攻撃を食らった武器屋は破壊。そして俺は走って逃げようとするが、だが、次の攻撃は俺が標的らしく、大量にこちらに飛んでくる。ガードナーをたてにしても耐えられないぞ!


 ってかなんでメイジの攻撃頻度そんな高いんだよ! もっとちゃんと詠唱しろよ! 魔法使いだろ!


 ドローだ! ドローにかける!


「ドロー!」



 [スペルカード]

 名 前:魔法構築

 コスト:1 

 【通常効果】デッキから任意のスペルカードを一枚手札に加える事ができる。



 いいぞ!


「手札よりスペルカード発動、魔法構築! デッキからスペルカードを任意に1枚、手札に加える!」


 選択し、スロットから出てきたカードをすぐさま火の玉の方向に投げ込んだ。


「スペルカード発動! ディフェンスタワー!!!」


 ゴゴゴという地鳴りとともに地面からビル6,7階程度の高さを誇るタワーがせり上がり、火の玉を全部遮断する。


 さすがタワー先輩!! かっこいいっす!!


「みんな! タワーの方へ来るんだ! 速く!」


 そういって俺は一足先に右手をつき、指紋認証させて扉を開けておく。


 味方ユニットが続々と入ってくる。リリーシャもだ。


 走ってきた途端抱きついてきた。


「おいおいまだ戦闘中だぞ」

「だってー! マスターが攻撃されてるところ見てすごく怖くて……」

「そうか。よしよし。俺は平気だからな。簡単にはやられんさ」


 そういって頭を撫でてやるとリリーシャははにかんだ。かわいい。


「それよりリリーシャの方は大丈夫だったのか?」

「そうですマスター聞いてください! わたし森のなかで動きまわって敵を10体も倒したんですよ。すごいでしょ!!」

「おお、すごいな! 助かるよ。でも危なかったんじゃないのか?」

「全然だいじょうぶですよ! ちゃんと教わったひっとあんどあうぇい作戦で一体づつ確実に仕留めました! キングから離れたところだったんで危なくなかったですし」


 リリーシャがここ数日で一番伸びたのは攻撃や防御ではなく速度だ。このパラメータはカードの記載にはない。記載されているものは制限されているのかまったく伸びず、この速度だけはのきのきと伸びていったのだ。


 そこで俺がアニメや漫画の辛うじて覚えている知識を教えたらそれを独自にアレンジして俺の文句のつけようもないほどのものに昇華させてくるのだ。リリーシャ、マジ有能。まぁ戦闘以外の時は相変わらずだけどな。


 ほめてほめて! というオーラを飛ばしてくるので答えるように頭を撫でてやった。


「よし、屋上に行くぞ。この戦いを終わらせるんだ」

「まかせてください! マスター!」

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