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異世界デュエリスト~俺だけが命がけのカード召喚士~  作者: えっくん
たくさん召喚してパワーアップ ゴブリンデッキ!
15/27

5話―②―平面

 外はすっかり夜。なのに俺はいまだ夕食をとっておらず、リリーシャに作ってもらった明かりのカードの光頼りに1枚のカードを眺めていた。


 そう、リリーシャはカードの精霊だからなのか便利なカードを作れるようだった。それがこの明かりのカード。時間制限はあるが地面に置くことで夜も見える、大変すばらしい。彼女に頼めば光量も調整出来るぞ!


 まぁそれは置いておいて話を戻すと俺がなんのカードを見ているかといえば。


 言わずもがな、リリーシャのカードだ。何故見ているのかというとかわいいからだ。うん。だがそれだけじゃない!


 このカードだけ他と違う特徴があったから。


 なんとこのカードの絵、動くのだ!


 それもレアカードのようにきらきらするだけとか髪とかがゆらゆらするだけとかいうレベルではない。


 中にいるリリーシャの様子が映しだされている。


 まるでカードの中にも世界? 部屋? があるのかリリーシャはそこにいてその行動を俺はカードを通して見ることができるようだった。ただし絵なので平面、二次元絵なので先ほどまで一緒に戦っていたリリーシャが今度はまるでテレビでやっているようなアニメになって動いているのがなんだか面白くて、食べるのも忘れてこうして眺めているわけだ。


 ちなみにリリーシャは今何をしているのかというと攻撃にも使っている無名のカードを使ってトランプでやるようなピラミッドを高く積んで遊んでいた。ドミノみたいに一端が崩れるとやばいやつだ。


 もしかしたらリリーシャは木の上に挟まっている時もこうして遊んで気を紛らわしていたのかもしれない。


 彼女は最後の1枚を上乗せして……完成させた!!


「おおすごいすごい!」


 思わず声が出てしまう。


 彼女ははっとしてこちらに気付いた。マスター! といって手を振っている。その声は声優とくらべてもとても澄んでおり、まるで本物のアニメを見ているように思えて感動してしまった。


 そして立ち上がろうとしてあっ、転んだ。そしてその弾みにピラミッドをぶちまけた。涙目になっている。


「ごめん、リリーシャ。俺が話かけちゃったから……」


 俺が謝るとリリーシャはこちらに向いて「マスターのせいじゃないです。わたしがドジだっただけですから!」と説明した。そういえば戦闘中は大分ましになったけど戦闘終わるととたんに戻っちゃうんだよね。それもかわいいからいいんだけど。


 そう考えていると彼女は体を起こしてこちらに向かってきた。どんどん近づいてくる。


 まるで動画見る時、被写体がどんどんカメラに近づいて来て、レンズに顔をのぞかせる時みたいだ。


 そしてそのまま彼女はレンズの中に入ってきてって……えぇぇ!?


 半身だけカードから外に出て実体化している彼女を見て俺は思わず声をあげた!


「で、でたぁぁああああああ!!!」


 叫びながらも俺はカードを放り投げてねぐらから逃げ去り、顔半分だけ隠して中を覗く。



「ひ、ひどいですマスター。わたし別にお化けじゃないですし!」


 いや、だってな……。テレビ見てたら突然○子が出てきたような。アニメ見てたら突然キャラクターが出てきたりしたらそりゃ驚くでしょ!!!!


 ちょっとまてよ。彼女は特別製のカードなんだから別に出てきてもおかしくないのか……。


「わ、悪い。手元からいきなり出てきたから驚いちゃって」

「むー、このまま抱きつこうと思ったのにー」


 えぇ! 俺のせいってこと!? まぁ投げた俺が悪いか。


「とりあえずごはんにしようか、リリーシャもこれ食べるか?」

「わたしはカードなので食べなくてもいいんですよー。あっ皮むき手伝いますね!」


「ありがとう、リリーシャ」


 感謝しながら彼女の頭をなでてやるとはにかみながらこちらに擦り寄ってきた。


「マスター。わたしが食べさせてあげますねー!」

「いや、それはさすがに……」


 恥ずかしい恋人じゃあるまいし。でもまさか、こうなるとは思わなかった。昨日はもうこの時間ではすでに寝ていた。


 昨日も食べたごはんが今日はずっとおいしくて。そして楽しかった。


 思えば昨日寝てからいろいろあったな。早朝ではゴブリンリーダーと初めての集団戦もしたんだよな。


「この果物かわいいですね! ハート型ですよ! ハート!」


 横でリリーシャが騒ぎ出した。たしかに果物は種類がたくさんあってその中にそういうのがある。ちいさくサクランボみたいでより掘りが深くてまんまハート型をしている。


「食べてみれば?」

「うーん。たしかに食べてみたいですけど……。でももったいないじゃないですか。やっぱりこういうかわいいものは飾っておくのに限りますよ!」

「飾るっておま……。これ食べ物だぞ。食べないと壊れてもったいないだろうが」


 俺は説得を試みるが、彼女は今だに踏ん切りが付かない模様。


「なんなら俺が食べさせようか?」


 俺がこんな提案をしてみると彼女はとたんに目を輝かせてすごい勢いで頭を上下してきた。


 こんな俺に食べさせられて何がたのしいのやら。まぁ、リリーシャがいいっていうのなら全然いいのだが。


「これすっぱいですー。でもとてもおいしいです!!」


 そう、これ結構すっぱいのだ。だが後からほんのりとした甘さもついてくるので侮れない。もっとも俺の主食マス様には及ばないがな。


 食事が終わると寝るのだが、その前に大事なイベントがある。


 そう。ガチャタイムだ。

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