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異世界デュエリスト~俺だけが命がけのカード召喚士~  作者: えっくん
たくさん召喚してパワーアップ ゴブリンデッキ!
13/27

4話―〇―リリーシャ

「サマナースペル発動、バリア!」

「バリア発動。耐久値は800です」


 デバイスの丸い所が光り出すと前方に半透明の壁が張られる。それでもゴブリンの攻撃はとまらず、耐久値が減っていく。ゴブリンの攻撃力は300。俺も防御力は300。一回の攻撃で100減る。敵は6体。これじゃあもたないぞ。


「敵からの攻撃を確認。バトルモードへ移行します。デッキシャッフル完了。バリア耐久値0を確認。破壊されました」


 マナ残量は5。バリアは2。とりあえずあと一回!


「もう一度だ。サマナースペル発動。バリア!」

「バリア発動しました」


「今のうちにドロー!」


 全部ゴブリンだと! くそっ。さっきの調整でゴブリン増やした弊害か! なんて間の悪い……。


「あ、あの。あなたは誰ですか、何でかばってくれるんですか!?」


 後ろに女の子おったの忘れてた!


「た、ただの通りすがりで気の迷いってやつだ!!」


「へ?」


「バリアが破壊されました」


 何言ってんだ俺。とにかく。目の前の対処をどうするか考えないと。


 マナ残量は4に回復。バリアは2。使えば2になってしまう。それでは召喚がままならない。

 ゴブリンを召喚しても付け焼き刃だ。マナを消費してコスト2や3の強いゴブリンを呼び出せなくなってしまう。今は次のドローに頼るしかないのだ。


 それまでをどうしのげばいい。でもとりあえず召喚しないとドローはできないぞ!


「サモン、ゴブリンかける3!」


 とりあえず3体召喚して防せごう。


「え、なんですかそのカード! しかもゴブリンが出てきて!! もしかして……」


 後ろで何か言ってるが今はそれどころじゃない。


 3体は戦うがすぐにやられてしまった。モニターの表示ではドローまであと2秒。それまでは俺が受け止める!


 俺のHPは3000。十分に間に合うはずだ。


 棍棒が俺の体を打ち付けた。痛いがレベルが上がって耐性が増えたのか、耐えられないほどではない。


「これ以上やめてください! わたしなら何回死んでも平気ですから!!」


 女の子が俺の腕を掴んで来た。


「何言ってる! 俺はこれでも男だぞ! こんなかわいこちゃん死なせたらバチが当たっちまうよ!!」

「えええ!? 冗談でも嬉しいですけど、そんなこと言ってもダメなんですから!」


 ええいうるさい! よし、時間。ドロー!


「来た! サモン、ゴブリンリーダー!」


 マナも丁度3になって俺は召喚することができた。


「ゴブリンリーダーの効果発動! デッキに存在するゴブリンを2枚召喚する!」


 今場の存在するのはゴブリンリーダーとゴブリン2体。敵の方が数は上だがリーダーの攻撃力と防御力は500。負けるはずはない。


 

 30秒後、敵のゴブリンはすべて倒れ伏し、カードとなった。


 ふぅ……。と一息ついていると突然後ろから抱きつかれた!


「マスター。ごめんなさい。わたしなんかのために傷を負わせてしまいましたぁ……」


「へ、えええええ!?」


 ちょっとなにこの子なにいってるの!?


 それよりなんか当たってるんですけど!!!!!!


 やわらないなにか! そりゃこんだけぎゅーってされたらあたるけどさ!!


「あのぉー。ちょっとやめてもらってもいいですかね? ははっ」

「いやぁぁぁあ……!。嫌わないでください……マスター」


 ちょっと意味わかんないし。ってさらに腕に強く力込められてる!?


 ちょっ! ギブ! ギブ!


 解こうとお腹の位置にある手をずらそうとするが……やわらかい……。やっぱ女の子の手が柔らかいのは都市伝説じゃなかったんだなぁ。


「顔がスケベになってますマスター」

「う、うるひゃいわ!!!」


 ついかんでしまった。


「リリーシャもこのくらいにしておきなさい。マスターは別に怒っていませんから」

「あっ。もしかしてルカお姉ちゃんですか!? 本当に怒っていませんか?」


「ほんとに怒ってないから!」


 俺が大きな声でそういうと彼女は力を抜いて解いてくれた。


「ふぅ……。ってそうじゃないよ! お姉ちゃんってなに!? なにそのありえない設定!!」


「何かおかしな点がございましたか?」

「むしろおかしな点しかないけど!?」

「おかしな点を理解できません。マスター」


「あのなぁ……。そもそも人間とAIが姉妹ってのが意味不明なんだが……」

「何を言っているのですか? マスター。彼女――リリーシャはわたしと同じく、マスターの力の一部分なのですから何もおかしな点はありませんよ」


「な、なんじゃそりゃああ! 意味わからんし!」

 

 ルカのこの言い分に対してこの子は何も反論しないのか?


 彼女を見た。うん、かわいい。ってそうじゃない!


「あの、あなたはリリーシャって言うんですか?」

「そうです! わたしの名前はリリーシャです。マスター。わたしにはタメ口で話してください。むずむずしちゃいます」


「そうか。じゃあリリーシャ。ルカが変なこと言ってるんだけど。人間とAIが姉妹とかそんな3流小説でもやらないような設定が、実際に存在するわけないよね?」


「??? 何を言ってるんですか、マスター。ルカお姉ちゃんはルカお姉ちゃんですよ?」


 リリーシャは首を傾げて言った。これも、かわいい。って違う!


「でも物理的無理だよね!? 世界の法則が乱れちゃう!!」


「マスターは何かを勘違いなさっていると思うんですけど……わたしは別に人間ではありませんからね?」


 へ?


「ほら」


 彼女は指を指し、そこに目を向けると驚くべきものが見えた。


 こ、これは……妖精の羽根……?


 そうとしか見えないものが彼女の後ろから生えていた。羽根の周りには鱗粉みたいな何かが漂っており、酷く幻想的で彼女の相貌にひどく似合っていた。まるでファンタジーの世界に迷い込んでしまったみたいだ。まぁここファンタジーの世界みたいですけどね? でも何で左側だけなんだ? そう、彼女の羽根は左側だけで右側はなかった。理由はあるのだろうか。


「つまりリリーシャは……」

「リリーシャ。マスターはまだ混乱しています、もとの姿に戻って見せてみてください」

「わかった。今から戻るね!」


 そう彼女が言うとポンッと軽い音がして消えた。


 

 ???



「マスター、こっちですよこっち!」



 声の方に目を向け、信じられないまま俺はそれを拾い上げた。


「どうですか? マスター。これがわたしの本来の姿なんですから!」


 あっ。声もかわいい。ってやかましい!


 何が言いたいかというと。カードがしゃべったってことだ!


「つまりリリーシャはカードだった……!?」

「そうなんですよー! わたしはマスターの力の一部分で特別製なんですよ? だから喋ったり、勝手に外に出られたり出来るんです!」


「あっ。へー。たしかにカードならありえるかもな。ははっ」


「でもなんで俺がマスターだとわかったんだ? 最初は気づかなかったみたいだけど」

「実はマスターの特徴がカードで召喚出来るってことしかしらなかったんです……だから気づくのが遅れちゃったんです……」

 

 彼女がそういうとルカが「はぁ……。リリーシャは相変わらずですね」ともらしていた。お前AIだろ!? なんでため息ついてるの!!

 とりあえず俺は質問を続けることにする。


「じゃあリリーシャはなんでこんなとこでゴブリンに攻撃されそうになってたんだ?」

「今まで木の上で絡まって身動き取れなかったんです。でも先ほどすごく強い風が吹いてきて地面に落ちてきたんです。嬉しくて出てきたら丁度ゴブリンさんに見つかっちゃって……。それで話し合いをしようと思ったんですけどあんまりわたしの言うこと聞いてくれなかったんですよねー」


 ゴブリンと話し合いっておま……。でも風ってのは多分俺のせいだ。結果的にリリーシャと会えたのだからよしとしよう。


「木の上に絡まっていたのか。俺の力だっていうなら俺と違う場所にいるのはおかしいんじゃないのか?」

「そもそも森にいること自体がおかしいと思います。わたしの記憶領域メモリにも欠損が確認されていますし、これは人為的な可能性が高いです」

「たしかに俺も記憶がとぎれとぎれなんだよな」


「はい! はい! わたしもあんまり覚えてないんですー」

「リリーシャは元からでしょう?」

「えぇ! ひどいですよルカ姉!」


「と、とにかく! リリーシャはカードなんだよね? だったらもしかして戦ったりなんかできちゃうの?」

「もちろんですよマスター! わたしマスターの力の一部分なこともあって結構つよいんですよ!」

「お、マジか! こりゃ楽しみだ!」



 [ユニットカード]

 名 前:カードの精霊リリーシャ(LV1)

 コスト:0

 攻撃力:300

 防御力:300



 あっ。カード絵もかわいい。ってそっちじゃない!


 よわっ!!!!! 俺の力のカードよわ!!!!! でもレベルがついてるから強くなるのか?


 ま、まて落ち着け。きっと効果がすごいんだきっとそうだ。そうに違いない!



 効果。20秒に1度、手札を1枚捨てることで墓地エリア、またはデッキに存在するフォースと名のつくカードを1枚手札に加える事が出来る。このカードのフォースレベルが3に達した時、このカードの所持する特殊能力の中から1つ選び、それをパワーアップさせることができる。


 ???????


 ホワット! ザ・意味不明! カードについてるLV1とフォースレベルは違うものなのか?


「とりあえずフォース? みたいなカードがないとあまり意味はないんだな?」

「実はそうみたいなんですよね……」

「そうみたいって自分の効果じゃないのか」

「そうなんですけど、わたしまだ生まれてから召喚されたことすらないので……よくわからないんです」


 あぁ、そりゃそうか。


「だから、ずっとずっと会いたかったんですよ。マスター!」

「お、おう。んじゃ、そうだな……。上手く言えないけど。これからもよろしくな」


「はい!」


 ひとまずこんなかんじか。リリーシャの可能性はまだわからないけど。フォースと名のつくカードをゲットするところから始めてみようと思う。リーダーの討伐も平行してやらないとな。


 もしかしたらフォースのカードでめちゃくちゃ強くなるかもしれないしな。そうしたら俺のデッキはもっともっと強くなれる。ワクワクしてきたぞ。


 そういやリリーシャとはこれから一緒に暮らすことになるんだよな。それってつまり同棲するってことなのか?


 いやいやカードだぞ。でもなんでだろう。顔が……熱くなってきた……!


「顔がスケベになってます。マスター」

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