4話 その拳はなんのために
「査察ですか?」
「そうじゃ、実はその世界を作ったのはいいんじゃが、作ったことに満足して放置しっぱなしなんじゃよ」
「いや、それはあかんでしょ!自分が作ったものには責任を持ちなさいって教えられたでしょうが!」
「いや儂生まれた時から神じゃからそんな教養的なこと言われても・・」
「誰だ!こんなんなるまで神を甘やかしたのは!!」
このおっさん見た目はナイスミドルだが、中身は子供だな・・
「まぁまぁそう怒鳴るでない、疲れるぞ」
「誰のせいだ誰の!」
ふぅ、落ち着けここで怒ってもしょうがない断ればいいだけの話じゃないか。
別に俺が行かなきゃいけない訳じゃないんだから。
「あっ因みにお主に拒否権無いから」
「なんでだよ!話聞くだけって言ったじゃん!勘弁してくれよ・・・」
突然神が言い出したことに訳が分からなくなってきた。
「実は先ほどお主に出したタバコなんじゃが、この空間で吸えるように態々調整したんじゃよ。
一応体に害のない成分で調整したから大丈夫じゃろと思ったんじゃが、お主が吸ったとたんに変異を起こしての、お主が帰れる体じゃなくなったんじゃよ。めんごめんご」
「めんごじゃねーよ!ちゃんと謝れよ!俺の人生返してくれよぉ・・・まだ童○なのにどうしてくれんだよ」
突然真実を突き付けられ絶望していると
おっさんがすまなそうに話はじめた。
「いや本当に申し訳ない
これは儂の責任じゃから、お主に第二の人生をあげようと思い異世界の話をしたんじゃ。ちなみに向こうに行ったら卒業できると思うぞ・・何がとは言わないが」
大きなお世話だよと思いながら、このおっさんをどうしてやろうかと考える
「じゃぁ、さっきのほったらかしにしてるとか査察とかっておっさんが俺の為に考えた異世界に行かすための嘘だったの?」
「いや、それは本当」
・・・ぷっつん
俺は切れておっさんに殴りかかった
「やめるんじゃ!お、落ち着け!こんな純情でお金を持ってない神を親爺狩りしてもしようがないぞ!!」
「まだ巫山戯るかこのクソジジィ!切れやすい若者の怖さをその身で味わえ!!」
思いの丈を拳に乗せて、力の限り神を殴る
さすがに顔を殴るが引けたのでボディーを狙う
「ふぐぅぉ! やめるんじゃ、ボッ!ボディーばかり狙うんじゃない!
ごめんなさい、本当にごめんなさい・・もう許して・・」
さすがに殴り疲れたのでやめると、そこには涙を流しているボロ雑巾が出来上がっていた。
「わかった。その異世界の査察を引き受けてやる、その代わりその世界で生き抜く力をよこせ!」