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「姫、1つだけ言わせてください。
あなたがどんなにこれから悪役になろうと、私はあなたの1番の味方でいます。
……味方でいさせてください。
これだけは忘れないでください、私の唯一の存在はあなただけだと言うことを。これだけはどうか、この言葉だけは信じてください。この言葉だけは何年、何十年経とうと変わらない事実だと言うことをここに誓います」
そう言った理玖は、主人に対して向けるような目ではなかった。
愛しくて、愛しくてしょうがないと言うような熱の籠ったような目で私を見つめて、私の指に口づけを落とすものだから、困ったことにその熱は私の指に移ってしまったようで、理玖が触れた箇所が発熱したように熱い。
あまりの恥ずかしさに話を切り上げようとした頃、タイミングを見計らったかのように使用人が私の部屋に入って来て、この光景を見ても表情1つ変えることなく、淡々とした口調で、
「突然の訪問なため、断ることも可能ですが、お客様がいらっしゃいました。いかがいたしますか、お嬢様」
と、使用人が告げてくる。
恋愛モードに入りかけた私を引き戻すキッカケが来たことに安堵しながら、どうしたもんだと考える。
……普通、このくらいの時間には面会は来ないもんだし。
だと言えど、答えは1つなのは変わらないんだがな。……まあ、彼女らのその質問は形式上なものだけで、私がこの後なんて言うなんか長年の経験からわかっているんだろうけど。
「構わない」
そう言えば、このあとの言葉を察したかのように訪問者の写真を渡してきた。
私は訪問者を屋敷内に招く際には、必ずその者の姿を写真で確認してからにしている。それは、暗殺されないための予防線でもあり、世間には知られなくない情報を盗ませないためでもある。
水月家には暗殺しなければ奪えない立場と、スパイを忍び込ませるほどの重要な情報を持っているんだと思う。
深くは知ろうとは思わないが、時期に知ることにはなるだろうな。
別人格とは言え、私は水月家の人間であることには変わりはないからな……なんて考えながら、考えを読んだように写真を差し出して来たメイドの手から受け取り、写真を眺めていると、珍しく理玖は身を乗り出して見ていて。
……知り合いか?
と、問おうとした瞬間、
「私の友人だと思われます」
問わなくても、自ら答えてくれた。
……珍しく頭を抱えながら。
そんな表情を引き出すなどどんな奴だろうかと興味が湧いた私は、メイドに理玖の友人を通せと命じれば、何故か理玖は猛省の様子で謝ってきて。
気にするなと言う意味で肩を叩いてやれば、最近男らしさが目立って久しぶりのように感じる困ったような笑顔を見せた。
……そんな笑顔も、理玖の優しさを感じて好ましく感じるが……、気恥ずかしいので言ってはやらないがな。




