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序章

男女どちらにもお読みいただける作品です。

気軽にどなたでも覗いてみてください。

プロローグ


「嘘……だろ?」

 ケンは口を歪ませて少し笑うように一人呟いた。

 

 周りは爆発の音を聞きつけた野次馬と、渋滞になり始めた車の運転手達の罵声でだんだん騒がしくなってきている。でもケンはまだ、今の今まで両親が乗っていた車の残骸が広がる車道脇で、呆然とする以外のことが出来なった。

 大破した車は既にその原型は残っておらず、そこここで小さな炎が上がっていた。その中にいたはずの男女二人の姿は、見る限りそれらしき形のものを見つけることは出来なかった。


 一人の警察官らしい制服を着た男がケンの横に歩いてきた。

「そこの君、今の事故の目撃者? ちょっと話聞きたいんだけどいいかな?」

 警察官は車のものであろう破片が、広い道路のそこかしこに吹き飛んでいる様子を横目で見る。普通の事故でここまで木っ端微塵になるものかなと思いながら、反応のない少年に目を戻しもう一度話しかける。

「おい、君? 大丈夫? ケガでもしたのかい?」

 少年は小刻みに震えていた。肩を揺さぶられて、今初めてこの男の存在に気づいた様子でゆっくりと顔を向ける。そして接触の悪いスピーカーのように、途切れ途切れに声を出した。

「お……俺の……。俺の父さ……んと母さん……が……」

「えっ?」

 言葉にしようとした瞬間、先ほど目で見た映像が、やっと情報として脳に伝達されたような感覚にケンは陥る。

 本当なら今頃三人で夕飯に何を注文しようか、とレストランの席に座って話しているはずなのに……。

 理解しよう、と思うと同時に、体中の力が抜けその場に座り込んでしまう。

 受け入れてしまった。

 事実を。

「やだよ!」

 ケンは涙でむせる胸を掴みながら叫んだ。

 

 俺、一人ぼっちじゃないか!



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