シロナガさんと、これじゃないささん
転生ネーム、シロナガさん。
お久ぶりです。説明の方は、宜しかったでしょうか?
しかし、いつ見ても大きなお体ですね。
ダイオウイカに転生して80回。ベテラン中のベテランとはいえ、毎回100年以上生きるのは貴女様ぐらいでしょう。
はい、では前回と同じ内容の転生ですね。
次も、良い人生を。
転生ネーム、これじゃないささん。
以上で説明を終わりますが、宜しかったでしょうか?
え? 先ほどの方ですか?
ダイオウイカに転生されたシロナガさんです。
ああ、異種族への転生も可能ですよ。たまにですが、付随条件で強制的に異種族になる方もおられます。
種族の指定は自由ですよ。エルフだろうとタツノオトシゴだろうと。お好きな種族を選んでください。食事などの忌避感は、種族変更サービスとセットになっております。ご安心を。
「エルフへの転生」ですね。
エルフですと、人間に奴隷にされるパターンが多く見受けられます。ですので、「人間とエルフの仲がいい世界への転生」を一緒に選ぶことをお勧めします。中には戦争中ということもありまして、悲惨な目に合われる方も……。
そんな青い顔をされなくても大丈夫ですよ。エルフとして平和な一生を送れる世界はたくさんあります。その世界をご自身が選択すれば、不安に思うことなどありません。そのための『徳』じゃないですか。
そうそう。まだ『徳』に余裕がありますので、ご一緒に「精霊と仲良し」もいかがですか? エルフと言えば魔法。エルフの魔法と言えば精霊魔法。精霊と仲がいいというのは、エルフにとってステータスですよ。まあ、残りの『徳』を全てつぎ込むとすごいことにな……全部、ですか? いえ、それはやめた方が……。
いえいえ、こちらの話を聞いてから決めてください。
前に同じようなことがありまして、悲劇を繰り返さないための措置なのです。
「精霊と仲良し」は、あなたと精霊の仲を取り持ってくれますが、精霊同士の仲に関してはノータッチなのです。よって、あなたを奪い合い、争うことになるでしょう。精霊による戦争です。これを回避するためにも、ある程度制限を付けさせていただきます。
……ご理解いただけたようで何よりです。残りは「魔力たくさん」にしておきます。
はい、では「エルフへの転生」「人間とエルフの仲がいい世界への転生」「精霊と仲良し」「魔力たくさん」で転生ですね。
次も、良い人生を。
これじゃないささん。どうなったでしょう?
ごくごく普通より、ずいぶん精霊に好かれるエルフになったようですね。周囲から一目置かれる、次期族長候補ですか。さすがですね。
おや? 人間だったころの記憶も無いのに、退屈だとエルフの里を飛び出してしまいましたか。まあ、時には寄り道も大事ですね。
あ。人攫いに。何て不幸な。
やっぱり人攫いさんは精霊にやっつけられてしまいましたか。「精霊と仲良し」を持ったエルフなんて、攫えるわけないじゃないですか。
おや? 今度は国軍が。
ああ、エルフとは戦争していませんが、人間同士で戦争していたわけですか。
え? 参戦するのですか!?
あああ、せっかくのエルフ転生がダークエルフルートに。殺しすぎですよ。
あれでは英雄にもなれずに使い潰されるだけでしょうに。