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ちっさいおじさんと月の3日間  作者: 早川 りな
ちっさいおじさんの真実
18/20

 ――ピッピピー、ピッピピー、ピッピピー


「うる、さ、い……」

 強烈な機械音で目を覚まし、アラームを止めた。隣に居るはずのヒロは居なかった。なんとなくこんな気がしていた。

 ヒロがおじさんだった時も、私が寝ている間に居なくなってしまったから。

 寝室をぐるっと見ると、サイドテーブルの上に何かが置いてあるのに気付いた。

「何、これ?」

 それはどう見ても石だった。白っぽくって、表面がごつごつしていて、ちょっと岩塩に似てる感じがした。その石の下には、半分に折られた紙が1枚あった。石を手に取り、紙を開いた。



『美月、おはよう。

 昨日はよく眠れた?

 美月と一晩、一緒に過ごせて楽しかったよ。


 この手紙の上に乗っているのは月の石です。


 月って、地球から見るとあんなに光輝いているのに、

 本物の月は意外と普通の石だよね。


 僕はこれって人も同じだと思うんだ。

 輝いている人も元は普通の人なんだと思う。

 特別だから輝いている訳じゃないと思うんだ。


 美月もこれから、もっともっと輝ける人だと思うよ。

 僕はずっと応援してるからね。


 また、会いにくるよ。


 ヒロ


 P.S. 朝まで一緒に居なくてごめんね。

      朝まで一緒に居たら妖精の義務、放棄しちゃいそうだからさ。』




 私は自分の手の中にある月の石を眺めた。何だかキザな気もするけど、ヒロらしいと思った。

「ヒロはありがとうって言いたいときに、いないんだから。でも、ありがとう。ヒロ」

 ヒロがいつ、また会いに来てくれるかは分からない。もしかしたら来月の満月の夜かもしれないし、もっと先で、ヒロが言うように私が誰かと結婚してるときかもしれない。それでも、あの律義な妖精はきっと会いに来てくれる。そのときに手紙と月の石のお礼を言おう。


 私はベッドから出て、ドレッサーに置いてある小ぶりのアクセサリーボックスを開けた。その中にはあのオレンジ色のハンドタオルとブルー色のハンドタオルが入っていた。そして寝るときはここにムーンストーンの指輪を入れている。その上に、手紙と月の石をそっと置いた。そして、フタを閉めた。


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