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〜光を失った少女はいったい何をみる?〜
私は、一本の橙色の糸を持ち
暗く、寂しい屋上に一人立っていた。
明朝…まだ、太陽がこの世界を光で満たさぬ薄暗い屋上に
一人で立つことが私の毎日の日課になっていた…
私は、太陽が最初に世界を紅に染め始める方角を見つめ
光が真っ直ぐに私を貫いていくところをを眺めるのが好きだった。
私の網膜が光をとらえることは
すでに、出来なくなっている…
だが…たとえ物理的には見えなくても、私には地平線から顔を出す太陽がしっかりと見えるのだの…
そう…もう、私の目はほとんど見えないのである。
でも、私には太陽が照らす光が見える…イヤ、見えると信じたいのだ…