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世界の危機なんて縛りプレーで余裕だが?  作者: アサヒ
三章 ラブリーチャーミーなかませ役
22/40

22話:概念魔法

 その少し後、、アホウドリの四人もダンジョン百層に挑まんとするところだった。

「じゃあいくぞ~」

「「「あ~い」」」

 場所はダンジョン入口。

 ロンの呼びかけに対し、非常に面倒そうな反応が返ってくる。

「おい見ろよあれ。勇者パーティだぜ」

「えっ、あれが?」

「いやいやうそだろ。装備とか超普通……っつか、誰も武器持ってなくないか?」

 ダンジョンの入口となれば当然、他の冒険者も大勢行き来する。ギルドの計らいでここまでは人目を避けて来ることができた。しかし、転移クリスタルの転移ポイントとなるダンジョン入口ではどうしようもできない。

 幸いなのは、冒険者以外は入れないエリアであることと、アホウドリの四人はまだそこまで顔が知られていないことだ。

 勇者祭でお披露目されたからと言っても、遠目であれば顔まで分からないし、それ以降四人は人前に出ていない。像や肖像画なども作成できていないため、セラの住人ですら四人の顔を認知していない者が割と多いのである。()だけは相当に広まっているが……。

 さらに、四人の装備は極めて絢爛さに欠ける。イゼンたちのような明らかな強武具の類は一切持ち合わせていないし、武器に至ってはフリンテがナイフを持ち歩いているだけ。ロンは金属の棒を空間に収納しており、リシャは帽子が杖の代わりであり、ナキにいたっては本当に何も使わない。

 中堅冒険者にも劣る装備レベルを見て、それが勇者パーティーと一目でわかる者はなかなかいないだろう。

 四人の妙なこだわりが功を奏し、それほど足止めは喰らわず百層への転移を開始する。

 ロンは右手で転移クリスタルを差し出し、その周囲に三人が集まったのを確認すると、魔力を流しクリスタルを起動した。

 すると無色透明な光がクリスタルからあふれ出し、四人を包む。そのまま光は加速度的に強さを増していき、すぐに視界を塗りつぶした。

 四人が再度目を開いた時、その場所はよくあるダンジョンの岩盤景色へと変わっていた。

 見覚えのある場所。

 そこはワイ君と戦ったボス部屋のさらに奥にある、転移部屋と呼ばれる小空間だ。どの階層にも存在し、ボスを倒した後は転移部屋にある転移クリスタルを回収し帰還する。

 転移部屋は次の階層へ下る階段への直前に位置する。つまり百層への転移(・・・・・・)と言いつつ、実際には百層入口(・・・・)への転移であって、ここはギリギリで九十九階層なのだ。

「それじゃ、ちゃちゃっと終わらせますか」

「その前に、ポジション決め」

「あっ、やっぱりちゃんとやるんだね……」

「おォ。すッかり忘れてた」

 リシャが木の棒で作った八本のくじを握りこみ、三人に差し出す。

 ロン、フリンテ、ナキはそれぞれ一本ずつに手を添え、リシャも空いている手で一本を握る。

「「「「ポジションどーこだ!」」」」

 そして、一斉に引き抜いた。

 

 結果

  ロン→前衛

  リシャ→後衛

  ナキ→後衛

  フリンテ→後衛

  

「まあ、悪くねえな。ナキが応援役なこと以外は」

「んっ、一番動きやすい。ナキは邪魔だけど」

「私も探知に専念できるしね~。あ~でも足手まといのナキがいるからな~」

「てめェら後ろから蹴り飛ばしてやる」

 ナキ以外は適性ポジションに配置され、今回はかなりくじ運がいい。

 ただ、ナキに関してはポジション適性の偏りがひどく、前衛では無類の強さを発揮する分、後衛での存在価値は皆無。バカであるためロンのような指示出しもできず、強化しかできないため遠距離攻撃もない。せいぜいが女子陣の防御くらいか。

 とは言えくじの結果に逆らうという発想もなく、ロンを先頭に陣形を組んで転移部屋を出る。

ボス部屋のそれよりかなり小さな石扉を開けてくぐると、左手すぐに階下へ続く長い石階段が延びていた。

 両側を岩壁に挟まれた、先の見えない長く暗い階段。ここから先は未知の領域だ。

 カツッ、カツッ。

 階段に触れる靴音を岩盤に響かせながら、四人はその長い階段を下り始める。

「にしても、これって明らかに自然の産物じゃないよね? ほんと、誰が作ったんだろ」

「古代の魔法使い、って言われてる」

「あ~。古代の魔法使いが作った資源世界っていう伝説だよね? 後世に富をもたらすための」

「実際、街が発展したのはダンジョンのおかげだからな。転移なんて都合のいいシステムが備わってるのも……んっ?」

 何気ない会話の途中、ロンが何かを感じ取って不意に足を止めた。

 景色も音も、何も変化していない階段の途中で。

「ロン、どうしたの?」

 フリンテすら何も察知していない状況でのロンの反応に、リシャも不思議そうに声をかける。

 それに対し、ロンは包み隠さず端的に答えた。

進化の緑(・・・・)の気配がする」

「「えっ⁉」」

 それを聞いて、リシャとフリンテは同時に驚きの声を上げる。

「確かに、概念魔法の気配は、ロンにしか気づけない」

「進化って、何が進化してるの? ていうか、そもそも進化って緑だったんだ」

 ロンが察知したのは、概念魔法の気配だ。

 現代の魔法の気配であれば、フリンテが感じ取れないはずはない。しかし理屈が全く違う概念魔法はその限りでなく、四人の中で察知できるのは、同じ概念魔法の使い手であるロンだけだ。そのロンをもってしても、概念の種類や規模によっては正確な察知ができないこともある。

 そして今回ロンが感じ取ったのは進化の緑(・・・・)

 概念魔法は赤、青、緑、黄、鳶、白、黒の七色のカテゴリーがあり、世界に存在する概念はその七つのうちのいずれかに当てはまる。

 なぜこの七つなのかというと、人間ごとの性質とそれぞれの概念が持つ性質が、七つに分類できるからだ。要は、性格によってどれか一色の概念魔法しか扱えないのである。

 例えば、ロンは()に当てはまる概念しか扱えない。ロンの精神構造上、他の色の概念は相性が悪いのだ。

 そして人間ごとの性質に依存する関係上、一人で二色以上の概念を操ることは理論上絶対にできない。故に、七色全てを扱える架空の存在を()などと呼んでいたらしい。

「概念魔法を使ってるの、誰?」

「わかんねえな。誰が、何を、何のために進化させているのか。全て謎」

「規模は?」

「見渡す限りは全部だな」

 ここで言う見渡す限りの範囲とは、もちろん視覚ベースの話ではない。ロンの感知範囲だ。そしてその範囲全域に気配を感じるとなると、その概念魔法の規模はかなり大きいといえる。だからこそ、感知が難しい概念魔法の色や概念まではっきり知覚できているわけだが。

「危険? 引き返す?」

「いや、たぶん危険はないな。何者かが魔法を使ったってよりは、何かの条件がトリガーになって発動したって感じがする。ダンジョンは古代の魔法使いが作ったってのが本当なら、そもそも組み込まれてる機能なんだろう。何か危険があるとしても、それはダンジョンの機構であって、踏み倒すべき障害だ」

 リシャの質問に、ロンは少し考えてからそう結論付けた。

「ええっと、それってつまりどういうこと?」

「気にせず進もうってことだ」

 リシャへの詳しい説明とは違い、フリンテには最終的な行動だけ伝える。

 ロン並に魔法への造詣が深いリシャには小難しい話もするが、フリンテ用にかみ砕いて説明すると時間がかかるため、今はしない。

「なんかあッたのか?」

「何もない」

 ナキへはもはや何も言わない。忘れるから。


次回

《作業系〇〇》

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