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世界の危機なんて縛りプレーで余裕だが?  作者: アサヒ
二章 決闘なんてしたところで大抵何も決まらない
14/40

14話:避けゲー

「よ~っし、おまえらジャン負けな」

「「「へ~い」」」

 決闘など誰もやりたがらないのは分かっているため、ロンはその人選をじゃんけんに委ね、他の三人も素直に同意した。

「んじゃ、じゃ~んけ~ん」

「「「「ぽん」」」」


  ロン→グー

  リシャ→グー

  ナキ→グー

  フリンテ→チョキ


「行け、フリンテ」

「頑張って」

「なんでいっつも貧乏くじぃ~」

 貧乏くじとは言うが、大体は自業自得である。今回に関しても、元をたどればフリンテのイカれた提案が原因だ。

「よし、うちからはフリンテを出す」

「あぁ、うん」

 ロンに押し出されたフリンテを見て、困惑するイゼン。

 それを察してか、ロンは気を利かせて言葉をかけた。

「安心しろ。こいつは四天王の中でも最悪」

「それ戦闘力以外も否定してるよねえぇ!」


    ◆


 場所を変えて、闘技場。

 もともと、勇者祭の催し物の中に闘牛やショーなど闘技場を使用するものがあったため、確保ができていたのだろう。

 今は観客の殆がそこに移動し、中心で向き合うフリンテとイゼンを注視している。

「イゼン様負けないで~!」

「イゼン様~!」

「フリンテちゃん可愛いよお!」

「こっち向いてくれええ!」

 観客は男女で見事に推しが分かれた。二人とも美少女美男子であるため、それも頷ける話だ。

「おっぱいか。揺れるおっぱいが見れると喜んでるんか」

 VIP席で見守るリシャは、少々不満顔であるが。

「何言ってんだリシャ。小さいのは正義だ。誰が否定しようとも、俺だけは小さいほうの味方だ」

「ロン……」

「んァ? なんでこんなことになッてんだ?」

 観客席の中でも、特別に用意されたVIP席。アホウドリの三人と白銀の騎士団の三人は、そのVIP席で一緒に観戦することとなった。

 背後にはウェイトレスが一人立っており、食事やその他の注文に応対できるよう待機している。

 石材をベースとした円形の一般観客席に、廂などは木材や布で作られ、観客席に囲まれたバトルエリアは土で埋められた、よくある形の闘技場。

 表向きには演目であるが、一決闘でこれほどの会場を使うことは滅多にない。非常に贅沢な戦いだと言える。

「人多すぎぃ……。私決闘なんて初めてなのに……」

 フリンテにはアウェーすぎる環境となってしまっているが。

「女の子と闘うのは気が引けるけれど、勝負だから仕方ない。なるべく怪我はさせないようにするよ」

 対照的に、注目された方が力が出るタイプのイゼン。華麗な動作ですらりと聖剣を抜き放ち、正面に構える。

 勇者の獲物としては相応しい、金の装飾が施された大剣。金属の棒をくっつけただけのロンの十字架とは雲泥の差だ。

 いや、そもそもロンだけでなく、アホウドリの四人は聖武器や魔武器の類を使わない。ナキに至っては武器すら使わない。

 なぜなら、装備によるステータスアップはアホウドリ的に甘え(・・)だからだ。ロンの十字架はもとより、リシャの帽子も魔法発動が早くなるだけの補助具でしかなく、無かったとしても同等の魔法を発動することは可能だ。

 そういうわけで、フリンテも何の変哲もないナイフを二本取り出し両手に構える。

 フリンテのナイフ術はロンに基礎を教わっただけであり、あくまで攻撃手段をゼロではなくすためのもの。戦闘力皆無(・・・・・)を自称するだけあって、一対一の構図はフリンテの最も苦手とする分野だ。この状況は絶望しかない。

 そんなフリンテの心中などいざ知らず、審判役のギルド職員が二人の間に立ち決闘の進行を始めた。

「それでは、両者準備はよろしいか」

「あぁ!」

「負けました」

「ダメです」

 審判役が、高く右手を挙げ決闘開始の合図を備える。騒いでいた観客もぴたりと息を止め、シンッ……とその時を待った。

 ばっ!

 その手が振り下ろされ、戦いの火蓋が切って落とされる。

「余興試合、開始!」

「行くぞ!」

 直後、イゼンは聖剣に魔力を通し、その力を開放した。黄金色の輝きをまばゆいばかりに発する聖剣。

 それを見て、VIP席のロンはうへぇと舌を出す。

「あいつ、せっこいもんつかってんな」

「ロン。もしかして、あれって」

「ああ、古代の概念魔法の産物だな」

 リシャもその正体を察したのか、ロンとともに頷きあう。

 聖剣を構えた姿を見るに、イゼンは魔剣師なのだとロンは判断した。

 魔剣師とはその名の通り、魔武器を使って戦うスタイルの戦士のことだ。聖武器を含む魔武器は、魔力を流し込むだけで特殊な力を発揮する強力な武器で、使い手との相性もあるが本領を引き出せればチート級の力を得ることもある。

 さらに、イゼンのそれは古代の魔法使いが強力な魔法を付与した一品であり、彼の代名詞となっている宝剣だ。魔武器としての格は言うまでもない。

「はぁ! 神爆剣!」

 叫んだ後、イゼンは足元の地面に剣を振り下ろす。

 ドンッ!

 剣が打ち据えられた瞬間、大爆発が起こった。周囲の地面が抉れ、重い衝撃と土埃が舞う。

 たかが振り下ろしただけで、この威力。

 フリンテが立っていた場所も十分攻撃の範囲内ではあったが、彼女は先んじて危機を感知。身を引いてそれを回避していた。

「あぶないなぁ……」

「フリンテ。今の威力でわかっただろう? さあ、降参するんだ」

 爆発をもろに受けたはずのイゼンだが、埃一つつかずノーダメージ。これは使用者を傷つけないという聖剣の特性だ。

「そうしたいところだけど、みんなに怒られちゃうからっ」

 確かに範囲は広いが、フリンテにとって避けられない攻撃ではない。魔力の収縮を見逃さなければ、事前に察知できる。

 しかし、イゼンにとっても避けられるのは織り込み済みで、むしろ今のは降伏勧告のために避けさせた攻撃だ。

「なら今度は……神速剣!」

 今度は、聖剣の魔力を速度に変える。

 金色の光を帯びた剣身は、空を切る度にフォンフォンと風を割く音がするほどの速さ。さらに単純な振る速度(・・・・)だけでなく、イゼン自身の移動速度にも上昇効果が付与される。

 ヒュン!

 一瞬で肉薄し、剣を振るうイゼン。

「わっ!」

 流石のフリンテもその速さには不意を突かれ、回避がぎりぎりになってしまう。それでも何とか身をよじり、その攻撃を躱した。

 しかしイゼンの攻めは、それで終わりではない。

「まだまだ!」

 速度を保ったまま、二撃、三撃。振るった剣跡に光が取り残されるほど疾い太刀筋。

 フリンテは最小限の体捌きで、何とかそれらをかわしていく。


技の名前はイゼンが考えてます。センスが光るね。


次回

《顎狙え顎》

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