森森の罠 その6
アルテミスと森の中を奥へ奥へ入っていくと、何度かクモの巣を発見し、蜘蛛そのものと遭遇した。しかし、不思議なことにバトルにはならなかった。
蜘蛛たちは、頭をペコリと下げた後に、僕をじっと見つめ、そのあとにある方向に蜘蛛の糸を飛ばした。
「アルテミス、どうやら僕たちは、あの昨日ノワールを捕まえた蜘蛛と協定関係にあるみたいだね。」
「うきゅん」
「蜘蛛たちが友好的に接してきてくれるし、おそらく蜘蛛の巣の方向にクエストのトカゲがいると思う。」
「うきゅんうきゅん」
「昨日は時間がないから早々に撤退したけど、もしかしたら、二人だけでもクエストはクリア出来るのかもしれないね。もちろん油断はできないし、色々と方策も練るけど、まったくダメというのはないかもしれない。」
僕とアルテミスは、蜘蛛の指し示す方向にとぼとぼと歩いていった。何事もなく、蜘蛛以外のモンスターと遭遇することもなく。クエストに失敗時の場合が書いてあるから、絶対にクリアできるわけではないが、メンバーを一人捕られているので、まったく無理な条件でもないようだ。
とことこと歩いていると崖が木々の合間からうっすらと見えてきた。何かが動いた影がチラッと見えた。
「アルテミス、準備はいいかい?どうやらそろそろ本命のトカゲさんとのバトルのようだ。」
「うっきゅん」
とは、言っても心の中でため息が出る。蜘蛛で空中戦が苦手なことが分かったのに、トカゲだから壁に這っていることもあるから、疑似空中戦もあることも分かっていたが、よりによって地面ではなく、崖を這うのか。
だがここまで来た以上は、やるしかない。一応、疑似空中戦も踏まえて対策は考えてきたが果たして効果が出るやら出ないやら。
近くと、壁面には洞窟があり、そこにトカゲが蜘蛛やリス、その他小動物を咥えて運んでいるみたいだ。
通常のモンスターであれば、獲物を咥えるなんてことはしないと思うから、きっとこれは特殊クエスト専用の行動なのだろう。
「カサッカサカサッ」
物音が後ろからするので、ビクッとして振り返ると、頭上に蜘蛛が、絆創膏を頭に貼って何かを訴えていた。
怪我したら、バンソーコー貼られるとか可愛い。けども、蜘蛛が何を訴えているか分からない。でも、きっと特殊クエストの補助モンスターなのだと思う。この蜘蛛と協力出来れば、きっとクエストはクリア出来る……筈だ。




