モンスターワールド
「ここがモンスターワールドか」
街の中の噴水のある場所に転移してきた。
空は蒼く、ハーブの匂いが風になって流れ、鳥や獣たちの鳴き声が、聞こえてくる。
「噂通りだけど、最近のVRシステムは本当にすごいや。現実と同じ様に五感がある。モンスターワールドの世界の食事も美味しいって聞くし、これは期待出来るぞ。」
僕は早速、使役するモンスターを得るべく、目の前にあるペットショップに向かう。
「ごめんください」
「はーい、いらっしゃいませ。エルナのペットショップです。どの様なご用件でしょうか?」
「はい、使役するペットを購入したいです。どんなのがありますか?」
「ペットのご購入ですね。お兄さん見たところ、ペットを買うのは始めてですね。」
「ええ」
「なら、簡単に説明しますね。うちのペットショップでは、ブリーダー様の初心者向けのものをご用意しております。初心者様ですので、猫、犬、鳥などの動物になります。幻獣種や希少種、精霊種などはこちらの店舗では取り扱いしておりません。
こちらのショーケースの中のものがプリーダー様向けのものとなります。他にご不明な点があればお呼び下さい。」
店員さんはお辞儀をして、レジまで戻っていった。
目の前にあるショーケースには、ペットショップみたいに動物がいる訳ではなかった。
カードショップの様に、カードと名札がついて並んでいた。
「えーっと、そういえば開始直後の所持金っていくらだったっけ?」
ステータス画面を呼び出して、操作していく。
所持金は......1000nyaoね。クレジットカードからなら課金出来るけど、僕はまだ持っていないし出来ないな。
現実世界に戻って、仮想通貨を専用のウォレット(仮想通貨の財布)にいれるてもあるみたいだけど、そもそも仮想通貨を手に入れるのもお金がいる訳で。
今後の生活費と現状の生活の維持を考えると、これ以上の金額の投資は、ゲーム期間を短くするだけな気がするので出来ない。
もちろん、BCGは投資するゲームでもあるから、スタートから大量投資して、イニシアチブをとり、スピードで上に登って、仮想通貨を手に入れ、原資を回収するのが王道らしい。
らしいのだが……やっぱり出来ない。これ以上の冒険は現状無理。課金なしの無課金でやっていくしかない。
1000nyaoで買えるものを探して行くか、
ショーケースの中を見ると
野良猫:1000nyao
野良犬:1000nyao
野鳥:1000nyao
・
・
・
芝犬:10000nyao
・・・・
キジトラ:1000000nyao
・・・・
えっと、一、十、百、千、万、十万、百万。
えっ、100万!!
ここ初心者様のペットショップだよね。なんでこんなに金額に差があるの?品種が書いてあるけど、野良犬、野良猫って品種じゃない様な。雑種ってことかな?
「お姉さん。ちょっと聞きたいのですが、この野良犬ってどういことですか?他のものは品種とそれに因んだイラストのカードが置かれていますけど?」
「はい、こちらは血統書付きのものが品種として明記しております。野良犬や野良猫は、血統が定かではないものになります。皆様のご存じのもので例えますと、ガチャになります。キジトラに似た野良猫ももしかしたら入手出来ることもございます。」