僕とノワールと兎さん
お腹に兎の突進を食らってよろけてしまった。
攻撃後、すぐさま後ろに飛び退いて再びダッシュしてくる兎ちゃん。
早く命令しないとノワールが次の所作に移れない
「ノワール、尻尾を振る」
「にゃー」
ノワールが3つ又の尻尾をぶんぶん振り回し、兎に挑発行為をしてターゲットを僕からノワールに移した。
チャンスだ。
「くらえ、突進の倍返しだ。」
隙を見せている草兎に向かって、僕はダッシュしてドロップキックをかました。
が……。
草兎は、仰け反りもせず、びくりとも動かずノワールに向かって突進しようとしている。
「ぼっ僕の倍返しドロップキックが効かない……。」
「レオ、何惚けてるにゃ。次のスキルを早くにゃ。」
次、次、次?寝てる場合は、にゃんキックだろ。突進する場合は?にゃんキック?人語?溜める?尻尾を振る?
「ええーっと、人語」
「なぜにゃ。分かったにゃ。へい、そこの可憐なラビットさん。よかったら僕の仲間にならないかい?」
なに言ってんだよ。ノワール。それで仲間になるゲームなの?人語のスキルを出した僕も僕だけど……。よりによって、敵のモンスターのラビットをナンパだなんて。
「うきゅ?うきゅ、うきゅ」
草兎が突進の準備をやめて、首を傾げて、鳴いている。
「にゃー、にゃー、にゃお」
負けじとノワールが応戦。なぜ人語でなくて猫語?
呆然とやりとりを見つめる僕。どうしていいかわからない。なに?どういうこと?コミュニケーション取れてるの?
「うきゅ、うきゅ。」
「えと、ノワールさん?どうなってるの?」
「にゃ、今兎さんとお話ししてたにゃ。条件次第で仲間になってくれるにゃ。」
「にゃ、にゃんですと〜。そんな簡単に仲間にすることが出来るの?このゲーム?というかノワール。兎語わかるの?」
「多少分かるにゃ。仲間に出来るのはみゃーもびっくりにゃ。」
驚きだ。人語、攻撃スキルとしては壊滅的なのにこんな使い方があっただなんて。有用過ぎない?てか、このスキルが有れば他のモンスターとも意思疎通が出来るってこと?思っていたよりも更に有効なスキルの気が……
「さっそれで兎様の条件はなんて?」
「それにゃ。強くてイケメンな伴侶を求めるにゃ。次世代の王を産むのがこの子の希望にゃ。」
強くて、イケメンとか、リアルの婚活女子じゃあるまいし、モンスターもだなんて、なんで風情のない。いや、野生の本能ならそういうものか。ただなー……
「えっとね。兎さん。善処はするけど、保証が出来ない、それでもいいかな?」
ペットショップに行って、レンタルすれば可能だろうけど、イケメンで強くて、王候補とか。レンタル料がいくらになるか検討もつかん。
「うきゅ、うきゅうきゅうきゅ。」
「にゃ、にゃにゃにゃ?」
「なら仕方ないわにゃ。それでいいにゃ。でも、3食昼寝付きで、手を打って上げるにゃって言ってるにゃ。」
「あーうん、それでお願いします。美味しい草を用意させてもらいます。」
そう言って僕は兎さんに手を差し出した。兎さんは、了承という形で、前足をちょこんと僕の手に乗っけた。
「ぼふん」
煙が出て、兎さんが消え、代わりに兎さんのカードをゲットした。
いや、なんだろう?拍子抜けするやら、呆れるやら。このゲームこれでいいのだろうか?人語強すぎじゃない?




