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幸せの瞬間

作者: 福本真理

政略だったけど、私はアルキュオネ様が大好きだった。


お菓子を作っても、ごはんを作っても、散歩や観劇、勉強会も提案したわ。でも全て無視された。




婚約から結婚報告を兼ねてのパーティー。

私をエスコートしたのは、父様で父様も私を見て抱きしめてくれた。不憫だと思ったのかしら。


パーティー会場には、アルキュオネ第1王子がいて、傍らには…見たことがない女の子がいた。

女の子はオドオドしながらも、シッカリとアルキュオネ様の腕にしがみついていた。


「ようやく来たか、ウスノロが。おや?魔法騎士団団長のザイル殿、どうしてウスノロといるのですか」

「アルキュオネ様のウスノロと下げ荒むレディは、我が娘アリア・ダイナだ」

「へ?は?」

「妻がこの婚約を喜んでいたが…どうだ?サシャ」

「……」


母様は私を睨むとそっぽを向いた。母様はこの婚約で一躍時の人となり、社交界では暴虐の振る舞いをしていた。

たから、私が破棄されたら笑い者にされ、自分が馬鹿にされる番と理解しているからこそ、破棄だけはさせたくない。


「して、アルキュオネ様、そちらのレディは?」

「よくぞ聞いてくれた!マリアなんかより、俺を理解し話を聞き…マリアなんかより素晴らしいレディだ!」

「マリアではありません、アリアでございます。ですから、どちらの令嬢で、アルキュオネ様はどうしたいのかを聞きたいのです」


父様?どうしたのかしら?


「ふむ…マリア・ダイナ魔法騎士団団長伯爵令嬢、今夜を持ち婚約を破棄する!」

「…ですから、マリアではなくアリアでございます。アリアでございます!」


アルキュオネ様は父様の迫力に後退りし、また大声で高らかに婚約破棄を言い渡した。


名前すら覚えられていない私を、クスクス笑う他の令嬢達を父様は一睨みすると、踵を返し母様に話しかけた。


「リリー、俺はこの国を守るためにダイナ家に婿入りをしたが、今しがた影を飛ばした。

直に実家から迎えが来る。それがどう言う意味を成すか理解しているか?」

「知らないわよ!お祖父様と前陛下と前宰相が決めた結婚!私は納得などしていないわ」

「そうか」


父様は悲しげに周りを見渡すと、会場に黒い軍服に黒で統一された厳つい人が現れた。


彼等を見て周りは青褪めた。


「しかし、馬鹿な国に成り下がったな。テメーらがノホホンと出来んのは…魔法軍事国家グランゼルが守ってんからだよ。

でも、それもなくなった。せいせいしたぜ」

「兄さん…いや現陛下口を慎んでください」

「はいはい。でナイル。もう良いな?」

「前陛下も宰相も義父母も知り得る人、良くしてくれ大事にしてくれた人、惚れた人も俺とアリアを邪魔だと。婚約破棄すると。だから…帰国する。離縁する」

「あーははははは。テメーら見捨てられてやんの(笑)ザマーねぇぜ(笑)

これからは、貧弱な騎士団で魔物刈りをしてろよな(笑)愉快すぎて腹が捩れる(笑)」

「はぁ…。さて、ナイル様、アリア様、着の身着のまま我が国へ帰りましょう。

破棄したことは録音してますから大丈夫です」


差し出された手の彼を見て、ブワリと顔に熱が集まった。


「ほぉ。アリア、コイツは魔物討伐騎士団団長のアーリー・ザッハだ」

「兄さん!」

「ま、帰還したら話は舞い込むぞ。何せ…グランゼル対魔物武装国家の王女様だからな(笑)」


アルキュオネ様は、目付きがギラリとし、婚約破棄はナシだ!無効だ!グランゼルも俺の国だ!とのたまい、私に突進してきた。


瞬間、紫のマントが視界を覆い、次に目にしたのはアルキュオネ様を組み敷き、私の安全を確認するために振り向いた顔に、私はまた顔に熱が帯びた。


『ありがとうございます…』

「ご無事で何よりでございます姫様」


更に熱が身体すら支配し…気絶した。




それからは大変だった。


婚約破棄はアルキュオネ様が勝手に言い出したことで、他国に視察をしたり、援助のために他国に居た陛下も妃様も寝耳に水で、直ぐ様帰国した。


二人は土下座する勢いで沢山謝罪し、慰謝料をくれたりもしたし、会場にいて私を嘲笑い馬鹿にしていた令息令嬢の両親も謝罪に来て、沢山の謝罪品を置いて帰った。


親達は知っていたのだ。

父の家がどのような家系か。


母は忘れていたのだ。

父がどのような家系か。


婿養子だから馬鹿にして構わない父子、がいつしか芽生えたらしい。


父は母と離縁し、陛下や妃に義理があるため、死するときまでは魔法騎士団団長としていることとなり…私は今新たな婚約者を迎えた。


『ライヤ様、無事の帰還嬉しいです…お帰りなさいませ』

「ただいま、アリア。アリアも無事で何よりだ」


屋敷は新たに建てた屋敷で、いずれは同じ屋根の下、ライヤ様を婿に迎え父様と一緒に住む。


『湯浴みの準備はしてあります。ごゆっくり身体を温め、休んでください』

「ありがとう。でもそんなに、気を使うな。疲れてしまう」

『好きな方のお世話は嬉しいものなのです』

「そうか」

『はい!』


あの日あの時あの場所で出逢い、私を助け守ってくれた、ライヤ・ダーウィン男爵令息に一目で恋に落ち、私は婚約者とした。


『私は…本当にライヤ様を…。でも、ライヤ様は私が姫という立場だから、仕方無く…だとしたら悲しいな…』


夕飯をシェフと作りながら呟くと、

「嫌なはずはない、俺もあの日あの時あの場所で、アリアに恋に落ちたのだから」

と背後から声がした。


『それなら良かったです…無理強いかなと』

「だとしても、受けていた。アリアの人となりを見て感じれば必ず好きになり、愛せると瞬時に理解したから」

『ありがとうございます』


そうだ、この人一一目で恋に落ちたのだから、運命なのだから、疑うのは止めよう。


この幸せな未来を、ライヤ・ダーウィンと歩もう。



読んでいただきありがとうございます。


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