抗い続けた者達の戦いの記録
混合人類として生まれた逃れ者として育ったアルス・ケリーは産まれてすぐに両親を失い、養子として育てられたが、それには大きな理由があった。
彼は混合人類、つまり政府の十英騎士団になるべき人間だが…彼は何故か新人類の家の養子として育てられた。
古びた工業地帯のすぐ近く、大きくも小さくもない一軒家に彼らは住んでいる
「ただいま、ジェラートさん」
彼は料理を作っていた、美味しそうな匂いを嗅ぎ舌鼓を打ち、いつもの挨拶をする
「おかえりアルス」
彼は優しい顔でそう答えた、昔から彼が怒った所を見た事がない。それほどに温厚な人だった
「今日は学校どうだった?」
アルスが一番聞聞きたくない言葉だった。
自分より圧倒的に低レベルな高等学校の生徒達に加え、差別を勧めるような授業を受ける苦痛の時間
ただただストレス
「特には…」
いつも濁す、仕方ないと自分には言っているが命の恩人であるシャーベット家の御子息にこう言うのも失礼だと毎回感じる
「そっか、友達は…いないよね…出来たかな?」
そんなの…
「出来てないです」
出来るわけがない、シャーベット家の人と以外はほとんど喋った事がない
ジェラートさんの優しさが心を抉る
「ご飯できてるから食べよっか…!」
いつも通りの生活…普通というには流石におかしいが不自由はない、幸せだ
しかしそんな幸せも長く続かないのが世の常
走る大きな足音に悪寒を感じた、嫌な予感ーー
突然蹴り飛ばしたかのように開く扉、俺は下唇を噛み眉間にシワを寄せた
「どうしましたか?グリムスさん」
「父上?そんな焦ってどうなさったのですか」
グリムスさんは俺を救ってくれさ恩人でありジェラートさんの実の父であった
「大変なことになったぞ…」
腰を下ろし、水を飲み干して一息つき、グリムスさんは続けた
「第二次反乱を起こすらしいぞ!俺らも参戦しなければ…」
当たった…世界一いらない当たり、見事に嫌な予感が的中してしまった
「嘘だろ…父上!何なんでも早すぎはしないか?!」
ジェラートさんは冷や汗をかきながらグリムスさんに話す。誰が見ても分かる、震えている
「計画は一年は先の筈だ、どういうことでしょうか?グリムスさん」
「旧西方面のヴィギニング町の旧人類が虐殺された。
反乱計画が一部バレてしまったんだ…」
鳥肌がたった…3年前のあの惨劇がまた起きるとなるとまずい
「行くしかないですね、集会場へ向かいましょう」
「そうだな、ジェラート!準備出来てるか?」
ジェラートさんは静かに首を縦に振った。
最初から十英騎士団が来るなんて馬鹿な真似はよしてくれよ…