法術の習得
さて、次のステップだ。
俺はしばらくハグレゴブリン狩りを一人でして回り、魔石とギルド報酬をもらい続ける。
ゴブリンは新人冒険者の救済的な意味もあって食料にもならない、討伐部位ゴブリンの耳で討伐報酬を出してくれる。
まあ、ハグレのような一対一のモンスター相手は楽なのだ。
一対多の戦いになると当然危険度は増す。
相手はこちらが攻撃しているところを狙える。
ランチェスターの法則からも一対多は危険であり、避けるべきであるとされている。
このランチェスターの法則はどうも「異世界」の理論だがこの世界の魔人が提唱したものとされている。
(後でこの理論を持ち込んだ魔神とつるむことになるとは思いもよらなかった。)
ランチェスター第一法則
戦闘力=武器効率 × 兵力数
同じ兵力数なら武器効率が高いほうが勝ち、同じ武器効率なら兵力数が多いほうが勝つ。
ランチェスター第二法則
戦闘力=武器効率 × 兵力数の2乗
違いは兵力数が2乗となること。
武器効率は変わらない。
確率戦は相乗効果をあげるから兵力数が2乗に作用する。
2乗とは10なら100、100なら10,000です。
とてつもなく大きくなります。
兵力が多いほうが圧倒的に有利。
実際に基本とすることは奇襲し、武器性能のいいものを装備し、集中化し、数を減らし、相手より早く移動し、攻撃を分散させる。
では実際どんな動きかというと
一対多の場合、属性付与されているような性能のいい武器を持ち、相手に気が付かれないうちに攻撃を仕掛け、素早く動いて位置取りをして敵と自分の軸線をなるだけ一対一になるようにするのだ。
戦闘する上で敵を盾にするように戦う。
敵にしてみれば攻撃しようにも味方が邪魔になり、攻撃できない。
(後で魔神に教えてもらったのが、ナポレオンは寡兵で大軍を打ち破ったが、ナポレオンは大軍が分散しているところに目をつけて各個撃破したそうだ。なのであいつはこれが現実的に機能する法則だと知ったそうだ。)
しかしながら、相手を上回るスペックがないと回り込んだり位置取ったりすることができず、一対多では勝てない。
では一体多ではどうするか。
法術で身体強化を行い相手のスペックを上回るわけだ。
なので、身体強化は間違いなく必要だ。
しかしせっかく異世界に来たのにチートとか無いんだよな・・・
ゴブリンとか無双でバカバカやっつけられるのが大体の異世界ものじゃないのか?
なんか少し納得のいかないものを感じるがまあ、現にチートできないんだから仕方がない。
俺はひたすらハグレゴブリンを狩って何とか金をためて再びアスに享受してもらうことになった。
初めての魔法だ。
魔法だよ魔法。
少し興奮する。
俺の世界にはなかったしな。