表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バーサーカーとビキニアーマーは使いよう  作者: 名称未設定
王都編
8/24

08


「ば、ババババ!? バッタ!? バッタ! バッタだ!?」


「落ち着いてくださいマスター。ただの虫です」


「落ち着いてられるか! バッタだぞ。それもあんなデカいヤツ。ダメだ殺す。バッタは殺す。完膚なきまでに叩き潰す!!」


 オレはクルスにブーストとコンセントレートを掛ける。

 コンセントレートは一時的に集中力を高めることで、命中率やクリティカル率を大幅にあげる。


「叩きつぶせ。いいか、残らず殺すせ。生きてはこの森から出られないと思い知らせるんだ」


「わかりました、マスター」


 いつもは真っ先に攻撃し始めるクルスの方が幾分慎重だ。

 しかし、今はそんなことに構っている暇はない。


「いでよ」


 オレは火の精霊を呼び出す。

 学者が呼び出せる精霊の中では攻撃型に当たる。

 見た目はただの赤い色したトカゲ、イグアナみたいで女性プレイヤーからはあまり評判は良くなかった。

 攻撃型の精霊はもう一体の、水の精霊が人気だった。


 呼び出した火の精霊を、無造作に掴むと、頭上高く掲げる。


「焼き払え!」


 体を掴まれた火の精霊はだらしなく手足を伸ばした姿で、顔だけ上に向けるとゆっくり口を開く。


 なんかやる気ねぇなコイツ。

 いまいちやる気の見えない火の精霊だが、一番攻撃力は高い。

 学者が出せる最大火力はこの火の精霊が吐き出す光線(・・)だ。


 ただ、欠点が一つある。

 この光線、まっすぐにしか飛ばない。

 魔法系の攻撃はターゲットした相手に自動で飛んでいくものがほとんどだ。ところがこの火の精霊が出す光線は、精霊の頭が向いている方向だけが攻撃範囲になる。


 シミュレーションゲームのマップ兵器じゃないんだから、いちいち方向を指定しなきゃいけない火の精霊は正直めんどくさい。

 火力で一歩劣る水の精霊が人気なのも頷ける。


 コイツ、水の精霊に人気で負けてるから拗ねてるとか、ないよな?


★★★


 必殺のトカゲ光線が薄暗い森に風穴をあける。


「ハハハハハ! くたばれバッタども」


 オレの正確無比なトカゲさばきでバッタどもを、バッタバッタと撃ち落とす。


 落ちてきたバッタはクルスの斧が止めを刺す。

 完璧な連携だ。


「わははははははは」


 妙な高揚感にテンションが上がる。


「マスター。終わりました」


「は?」


 辺り一面を焼け焦げたバッタの死骸が埋め尽くす。

 精霊の光線によって木々は倒れ、陽が差し込む。


「ふう、悪は滅びた」


★★★


「マスター!」


 クルスがオレを庇うように盾を構えると、ガコンと鈍い音がした。


「なんだ?」


 クルスの盾に阻まれ何かが地面に落ちる。


「木の実?」


 落ちたのはクルミに似たデカい何かの実。


「どこから?」


「あちらです」


 クルスの視線の先を追う。

 そこには、熊ぐらいデカいリスがいた。


★★★


「クッソ! げっ歯類の分際でっ!!」


「どうしますか、マスター」


「流石に撤退だ。あれはやばい」


 人よりデカいシマリスもどきが、ほほ袋に詰め込んだ人の頭ぐらいある硬い木の実を吐き出して飛ばしてくる。

 まるで砲弾だ。

 クルスに守られながら、森を駆け抜ける。


 あれと正面切って戦うのは得策じゃない。

 あと、クルスのラウンドシールドがそろそろ限界だ。

 流石にあと何発も耐えられそうにない。


 火の精霊を消して、土の精霊を呼び出す。


「煙幕だ」


 正直、戦闘状態での煙幕にどれほどの効果があるかわからないが、何もしないよりはマシだろう。

 ついでに道案内してもらう。

 すでに、バッタとの戦いで帰り道を完全に見失ってる。

 あ!? もしかしてあのバッタ供もあのジャイアントシマリスに、追われてたのか? だとしたら生かしてはおけん。

 なんたる、屈辱。

 覚えておけよげっ歯類め、万物の霊長たる人間に喧嘩を売っておいて、タダで済むと思うなよ。


★★★


 煙幕が効いたのか、はたまたオレたちにあまり興味がなかったのか、無事に森の外まで逃げることができた。


「はぁ、はぁ、なんとか…… 逃げられたな」


「すみませんマスター、いただいたシールドが」


「壊れたか? 気にしなくていいぞ、どうせ安物だ。グレイにでも頼んでもう少しいいのに買い換えよう」


「イエス、マスター」


 しかし、ジャイアントシマリスもどきめ! 覚えておけよ。


★★★


 薬草を取りに行くと言った彼が、ボロボロになって帰ってきた。

 あの森でこんなになるなんて一体何が?


「何があったかお聞きしても?」


「バッタを焼いたらクソデカいシマリスが口から砲弾吐いてきやがった。おかげでクルスのシールドがオシャカだ」


「申し訳ない。言っている意味がよくわからないのですが……」


「そうか、すまん。それより草を納品したいんだが」


「あ、ああ。こちらで預からせていただきますよ」


 薬草採取でこうはならないと思いますが、バッタもシマリスもよくわからないですね。何かの隠語? カンフェのローカルルールでしょうか?

 調べてみる必要があるかもしれないですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ