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バーサーカーとビキニアーマーは使いよう  作者: 名称未設定
王都編
20/24

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「私は王都衛兵団を総括するミゲルという。今回の騒動、第三衛兵団に代わって陳謝する」


 総括って一番偉いさんじゃないのか!?

 そんな簡単に頭下げていいのか。

 いや、管理職ってのは頭下げるのが仕事なところがあるけどさ。

 この場合、サイガス隊長に責任があるのは明白だろ、あいつが悪いって全部なすりつける方が簡単なのにな。

 意外とできる男なのか、それとも頭下げるのに慣れすぎて感覚が麻痺してるのか。

 管理職はどこの世界に行っても苦労が絶えないねぇ。


★★★


「しかしサイガスがこの状態じゃ、真相は闇の中って感じだな」


「ワシの治療術でも完治は難しいだで、意識が戻っても記憶があるかどうか……」


 衛生兵に担架で運ばれるサイガスを見送りながら、ライザさんと話す。

 サイガスそのものはどうでもいいんだが、花の出所はやはり気にはなる。カンフェや王都で取引されたのは、乾燥させたカレンナの葉で花じゃないらしい。

 総括さんの話じゃ、カレンナの葉であればどこぞのバカが持ち込むこともあるかもしれないが、花はそうは行かないみたいでかなり厳重に管理しているものらしい。

 それこそ見つかれば国家反逆罪とのことだ。

 葉の時は極刑と言っていた。

 しかし花は反逆罪だ、この違いは刑が及ぶ範囲にある。

 反逆罪は一族郎党全てに及ぶ。

 だからオレ達の時はギルドにまで衛兵が来たわけだ。

 サイガスであれば下手をすれば第三衛兵団全部もありえる。

 兵士全て、家族も含めて粛清の嵐だ。

 それほどの罪を背負ってまでサイガスが果たして花を手に入れるだろうか。


 だいたいそれほどまでして手に入れる目的がわからない。

 しかも入手にかなり苦労したはずの花を自分で使用してしまった。

 ますます意味がわからない。

 何がしたかったんだろうな。


★★★


「少しよろしいですか?」


「なんだよ、あらたまって」


 グレイがいつになく真剣な表情をしてる。

 はぁ、嫌な予感しかしない。


「メダルを覚えていますか?」


「メダルぅ? 知らないなぁ」


 北の森林で山賊頭から手に入れたやつか。

 確かあれはサイガスに渡したな。


「そうですか。そのメダルなんですが現在カンフェのあたりにあるようなんです」


「いや、知らないって言ったよね!? なんで普通に話進めるんだよ」


「貴方はどうせ知らないフリをすると思っていましたから」


 こいつに妙な信頼感を植え付けてしまったらしい。


「わかったよ。それよりなんで場所がわかるんだ?」


「追跡しています」


「どうやって?」


「秘密です」


「そうかよ。それはいいとして、なんで追跡してんだ」


「メダルの出所を突き止めるためです」


「そんなに重要なものなのか?」


「そんなに重要なものです」


「なんか要領を得んな」


「聞きたいですか?」


「嫌だ! 聞きたくない!」


 オレは耳を抑えイヤイヤと首を振る。


「ふふふ、いいんですか、知らないまま巻き込まれるのと、知って巻き込まれるの。どちらがマシでしょうね?」


 くそっ! コイツ何が何でもオレを巻き込む気だな。


「わかった。聞くよ」


★★★


「あのメダルは王国のものではありません」


「ふーん、そう」


 グレイは不満げな表情でこっちを睨む。


「もう少し興味を持ってもいいのでは?」


「そう言われてもな。王国以外と言われてもピンとこないし」


 実を言うと王国と言われてもピンとこない。

 王様見たことないしな。

 それ以外の国なんて初めから知らない。


「北に帝国と南に共和国があります」


「挟まれてるやん」


「そうです。しかし実際は地形などの関係でそこまで切迫はしていません。王国は中立の政策をとっており両国とは交易を長年しています」


「そうかい、それでメダルはどっち産なんだ?」


「おそらく帝国です。帝国は北方の山岳地帯を領土にもち、豊富な金属資源を持っています」


「帝国ね。山賊も北の森林にいたな」


 帝国っていつも悪役だな。

 まあ、帝政はどうしても領土の拡大が至上命題になりがちだしな。


「あの山賊も帝国から何がしかの支援を受けていた可能性がありますね」


「そんなわかりやすい事するかね? だいたい……」


「なんですか?」


「目的がわからん」


「王国への侵攻では?」


「山賊がなんの役に立つんだよ」


「山賊は治安悪化を狙って」


「警備が強化されるぞ。帝国は北から侵攻するんだろ? 北側が思いっきり警戒されたらマズイだろ。あと花はどうなったんだよ?」


「花は衛兵団に混乱を起こす、とか?」


「混乱はしたが結局、花の出所を探られることになるんだぞ。調査が始まれば王国内で動きにくくならないか? よそ者が真っ先に疑われるのに」


「確かに」


「なんかチグハグだな。それだと目的に対して行動が伴ってない」


「そうですね。目的が違うのでしょうか?」


「もっと単純な話なんじゃないか? 結局誰が得をするかだよな」


「今のところ誰も得をしていないですね」


「まだ見えない敵がいるか、だな」


「見えない敵……」


 顎に手を当て考えに耽るグレイには悪いが、正直面倒になってきた。

 そろそろ別の国に行くのもアリだな。

 

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