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バーサーカーとビキニアーマーは使いよう  作者: 名称未設定
王都編
16/24

16


 どうすっかなぁ。

 オレの横で、腰を浮かしキョロキョロとするグレイはおそらく役に立たない。

 隊長は目の前にいる。

 部屋には、ゾロゾロと衛兵が入ってくる。

 数で押す気だ。


 おそらく二者択一。

 一つはおとなしく捕まる。

 グレイが捕まればギルドなりグレイシアが動くはずだ。

 冤罪なのだから、時間をかけて調べれば何がしか突破口はあるはずだ。ただ、それまで生きていればな。


 もう一つはここで暴れて逃げる。

 その場合、完全にお尋ね者だ。

 どう言い訳しようが、ここから逃げ出したという事実は残る。


 まあ、考えるまでもない。


 オレは、水の精霊を呼び出した。


★★★


 ファンシーな見た目の青紫色したアルパカが姿を現す。

 背丈はオレと変わらない。

 実際に見ると結構でかいな。

 なんでアルパカなんだと思ったよ。

 水関係ないしな。

 可愛ければいいんだろう。


「捕らえろ!!」


 精霊が出現したことで、隊長が吠えた。


「グレイ息止めてろよ」


「え!?」


「やれっ!」


 オレの合図で水が吹き出す。

 間欠泉でも掘り当てたのかってほどの、怒涛の勢いで水があふれ出す。

 その勢いはとどまることなく、隊長室をまるでプールか水槽のように水が埋め尽くす。

 さらにアルパカを中心に水流が渦を巻く。

 洗濯される服になった気持ちで、水流に身をまかせると割れた窓から外に押し出された。


 外にでるとゲホゲホと水を吐くグレイをアルパカの背にのせる。

 オレもアルパカにまたがると、そのまま走り出す。


 まあ、脱出はできるんだよ。

 問題はこの後どうするかだ。


 国家反逆罪なんだよなぁ。

 しかも逮捕に抵抗して、隊長室を水浸しにして、逃亡って役満だよな。ドラも乗ってそうだ。

 そんなオレはテンパってるって、やかましいわ。


★★★


 その足でゲオルグさん家を目指す。

 置いてきたクルスを回収しに行く。


 青い顔したグレイを引きずってゲオルグさんの店に入る。

 悪いとは思ったが、とりあえず床に寝かせる。

 大の大人をテーブルに持ち上げる力はないよ。


「なんだ?」


 厨房からゲオルグさんが顔をだす。


「すみません、緊急事態で」


「任せろ」


 ゲオルグさんがグレイを見ている間に、二階に上がってクルスを呼びに行く。


「クルス」


「イエス、マスター」


 とりあえずこれで戦力は確保できた。

 あとは王都を出るか?

 でも、どこへ?

 カンフェに戻るか?

 それとも、別の街を目指すか?


 なんか、完全に逃亡者だな。


★★★


 下に降りると、すでにグレイは目を覚ましていた。

 さすがゲオルグさんだ。なんでもできる。


「よく、あの状況から逃げられましたね」


「逃げるのはできるよ。それよりも問題はこれからの方だ」


「そうですね……」


「はやまったか?」


「いえ、あそこまで強硬な手段を使ってくるとは思いませんでした。あそこは逃げるのが最善でしょう」


「そうか」


「お前ら何やったんだ」


 ゲオルグさんが太い腕を組み、睨みつけてくる。


「第三衛兵団と、ちょっと……」


「そうか第三か」


「はい」


「それで」


「はい?」


「戦争か?」


「……はい」


「よし、よく言った。そうでなきゃ王都ギルドは名乗れねぇ」


 なんでそんなに血の気が多いんだよ。


★★★


 ギルドはすでに衛兵が封鎖しているらしい。


 一体どんな手を使ったのか、何やら秘密の連絡手段があるらしく、グレイシアが少数のギルメンと共にゲオルグさん家に集結する。


「おう、久しぶりだなゲオルグ」


「元気そうだなバルト」


 熊かってくらいデカいおっさんが二人、がっしりと握手する。


「グレイさん、何があったのか説明をお願いします」


「わかりました。私はカンフェギルドのロムルスから、カレンナについて調査を依頼されました。カンフェでカレンナが少量とはいえ流通した痕跡があると。調査の結果、王都でも確認されました」


 皆黙って聞いている。


「その調査の過程で、第三衛兵団の名が浮上します」


「あいつらが出所か?」


「おそらくは、しかし証拠がありませんでした。そこで何か引き出せないかサイガス隊長に面会します」


 もう少し用心しておくべきだったな。


「そこで、サイガス隊長は私たちを国家反逆罪で逮捕すると」


「おお、なかなか強引な手にでたな」


「はい。尻尾は出しましたが、私たちだけで行ったのが裏目に出ました。衛兵に囲まれ逃げの一手しかなく」


「衛兵団に囲まれて逃げられたなら上出来だ」


「それで」


 グレイシアが口を開いた。


「このあとは?」


「決まっている」


 答えたのはゲオルグ。


「戦争だ!」

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