5000年ぶりのクエスト
俺が目を覚ましたのはまだ日が昇り始める頃だった。睡眠は必要だと思っているが、必要以上にしようと思うほどのんびりしたいわけではない。そんなことを思いながら早々に身支度をし、宿の従業員が仕事をし始めるような時間に宿を出た。
冒険者ギルドにやってきた。まだ時間が早いということもあり、閑散としている。俺は早々にクエストボードに、向かった。
……、ウィークスライムの討伐クエストがない。あるのは薬草の採取と、街の中で行える、俗にいうお使いクエストだけだ。5000年前は、ウィークスライムは、初心者用としてE級の常駐クエストだったが、今は違うのか。仕方ない。薬草の採取を受けよう。俺はそのままクエストを受け、冒険者ギルドを出た。
俺はそのまま魔の森方面の門番の元へ向かい、通行料を払うと、そのまま町を出た。
俺は魔の森とは少しずれた林の方に向かう。魔の森には薬草が見当たらなかったからな。道中は開けているし、林も木がまばらだ。魔獣は出ないと思う。そうして俺は林の中心へ向かっていった。
林の中心についたので俺は魔法を使うことにした。使う魔法はマップ魔法と、空間魔法だ。まずこの林の3Dマップを脳内に展開する。その中から薬草だけを選択。そして、そこを位置情報として空間魔法を展開。挿入を、薬草側の空間魔法の領域選択の輪。搬出を、俺の収納魔法内に選択。そして、空間魔法のフィルタのホワイトリストに薬草、ブラックリストにその他全てを選択。そして、空間魔法の領域選択の輪を、薬草の上から下に動くように移動。そうすると、この林の薬草は全て俺の収納魔法内に入ることになる。しかし、薬草採取クエストを受けた駆け出し冒険者の分まで薬草をとる気はない。ということで、まずは人間の有無の確認からしよう。俺はもう一度3Dマップを脳内に開いた。
…いた。しかも吸血鬼みたいだ。この林の中心が空洞になっていて、その中にいるようだ。そしてその周りに三体のゴーレムがいる。気になるし見に行くか。もしかしたら研究のタネになるようなことがないわけではないかもしれない。
幸いその吸血鬼以外に人間はいないようなので、俺は数秒で薬草を全回収した。そして地下に転移するため、その3Dマップの地下の空間にマークをつけたのだった。